結局、一度も目が合うこともないまま、二人は決めてあったカフェに行った。

 外のテーブルが気持ちよさそうだったので、木の近くの席にしてもらう。

 程よく日陰で、寒くもなく、暑くもなくちょうどいい。

 花鈴は微笑んで言った。

「堀口さんにこのお店聞いたんです。
 此処のランチ、インスタ映えするらしいですよ」

 すると、光一は自分の手にあるメニューを見たまま、
「お前はインスタをやっているのか?」
と訊いてくる。

「いいえ」

「……じゃあ、意味ないだろう」
という会話をしながら、インスタ映えするランチを食べて、ふたたび、車に乗り込んだ。