「誰っ?
 今のイケメンはっ?」

「私の上司のおうちの執事さんみたい」

「しょっ……」
と言いかけ、椿は言葉を呑んだ。

 紹介して、と言いたかったらしいが、恋なんて愚かなことよと言った手前、言えないらしい。

 やっぱり、彼氏とは別れたんだな、と苦笑いしながら、花鈴は言った。

「今度、田畑さんも来るコンパあるよ。
 来る?」

 椿は長く沈黙していた。

 やがて、ぼそりと、
「……人数が足らないんなら行ってやってもいい」
と言ってくる。

「そ、そうだね。
 足らないと思うよ」

 いや、人数決まってないんだが、と思いながらも、花鈴は姉のためにそう言った。