「あー沙紅芦ちゃん、やっと来た♪」



「碧斗くん・・・・」



リビングに入ると、碧斗くんが嬉しそうに尻尾を振っているみたいに近付いてくる。



まるで、わんこみたいだ。



そんな事を思っていたら━━。




「通行の邪魔」



碧斗くんのカーディガンの襟元を掴み紫衣羅くんは引きずっていく。



「え━━━」



「えーじゃない」



みんなが揃う前、隣の席の碧斗くんに小声で声を掛ける。



「ねえ、碧斗くん」



「ん~?」



「紫衣羅くんって優しい人だよね?」



私の尋ねに碧斗くんは、特に疑問を持つ事なく普通に答える。



「優しいよ、穏やかで。 まあ、俺に対しては毒吐かれるけど」



「そう・・だよね」



「それが、どうしたの?」



碧斗くんはキョトンと首を傾げながら耳を傾ける。



「さっきね、紫衣羅くんが自分の事はは優しい人間じゃないって言ってたの」



「へえ」



「それと、碧斗くんが紫衣羅くんの事、腹黒いって言っていたでしょ。その事聞いてみたんだけど、否定しなかったの」




「そうなんだ・・・・」



「うん」



「ふーん、そっか」



「?」


何を思ったのかは分からないが、碧斗くんは意味深な顔を浮かべた。