「あれ、沙紅芦ちゃん!大丈夫なの?動いて」



少し良くなったし手伝えるかなっと思って、畑のほうへ赴いた。



「うん平気、ごめんねやってもらって、手伝うよ」



「いやいや、大丈夫だよ。ベンチ座ってて」



「でも」



「いいからー」



そう言われ、畑の近くにあるベンチに誘導される。



「また倒れられても困るし、ねっ」



「うん、そうだね、わかった」



納得すると、碧斗くんは安心したような息を吐いた。



私は言われた通りに側にあるベンチに腰を掛ける。



そして作業をする碧斗くんをぼーっと見つめていた。




「ふう、終わったーー」



「お疲れ様」



畑の作業を終えた碧斗くんにベンチから声を掛けた。




「ふわわわわ~~」



私の声掛けに碧斗くんは、よくわからない声を出す。



「?」



「そっかあ!」



そして、いきなり私の所に詰めかけて。



「沙紅芦ちゃんが俺に゛お疲れ様゛って、この言葉を言ってくれる為だったんだあ!これは、いい収穫だ!」



「あ、碧斗くん・・・・?」



碧斗くんはひとりで嬉しがって舞い上がっているようだ。



多分私の事だと思うが、何に対しての喜びなのか、私には全く不明だ。



「正直、やる事2つもしなきゃいけないのは嫌だなって思っていたけど、この為だと思うとやったかいがあるよ」



「そ、そっか、それはよかったね」



よくわからないテンションに、とりあえず相槌を打つ。



「うん!沙紅芦ちゃー・・・・あっ」



一瞬抱きつきの行動に出るが、触れる直前でピタっと止まり、ゆっくりと手を引っ込める。



「?」



「今抱きついちゃダメだって、紫衣羅に言われていったんだった。うー今は我慢しなきゃ」



碧斗くんは顔をそむけぼそぼそっとなにかをつぶやく。



「碧斗くん?」