「ん・・・・んん・・・・・・・・」



(・・・・あれ、少し楽になった気がする)



もう一度目が覚めると、前覚めた時より少しだけしんどさが軽くなった感じがあった。



どのくらい眠っていたのだろうか。



(喉・・・・乾いたな)



そう感じて起き上がると、ふいに部屋の扉が開いた。




「あ、起きたんだ」



「紫衣羅・・・・くん」



手に料理を持った紫衣羅くんが入ってきたのだった。



私の為におかゆを作ってきたのだと思うけど、いったんそれを机に置きベットに近付いた。



「だいぶ良くなった?」



「うん」



「そっかよかった。熱はーー」



「!?」



すると紫衣羅くんは、手を私の頭に伸ばし、そっと額をコツンとくっつけた。



「・・・・っ」



(ち、近い・・・・)



「うん、まだ少し熱いけど下がったね、よかった」



すぐに離してくれたけど、別の意味でまた上がりそうになる。



(びっくりした・・・・!)



「あの、今って」



「ああ、お昼頃だよ」



「もしかして、あの後ずっと眠ってたの?」



「そうだね、結構つらそうにしていたし」



「そっか」





「じゃあ、これここに置いておくね」



そう言って、いったん机の上に置いたおかゆを、ベットの横のチェストに置く。



「あ、うん、ありがとう」



「本当なら、薬とかあればいいんだけど」



「そっか、無理だもんね」



「まあね。じゃあ、俺は行くね」




そう言って、出て行こうとする。



「あ、紫衣羅くん」



「うん?」



気になることがあり、つい彼を引き止める。



「看病・・・・してくれてたんだ」



「うん」



「そうなんだ、ありがとう」



あの暖かさは紫衣羅くんの手だったんだ。



すごく優しくて懐かしい感じがした。



人の手ってこんなにも暖かいんだ。



とても不思議な感じがした。




記憶をなくす以前の私にはこんな事があったんだろうか。



多分、ないんだろうな。



あっても小さい頃だけだろう。