今日は、碧斗くんと炊事の担当なので、テーブルにあるみんなの朝食の食器を手に持とうとしたら━━。



【バッ】



「!?」



「ぎゅう~♪」



突然、前から碧斗くんに抱きつかれる。



(・・・・!)



「あー女の子はいいねぇ。やわらかくて小さくて、かわいい~」



恥ずかしいセリフを言いながら、碧斗くんは私をぎゅうっと抱きしめたまま離そうとしない。



というか、私がどうしたらいのか困惑というか恥ずかしさがある。



「まーた、お前は意味もなく抱きついて・・・・」



紫衣羅くんは呆れ気味に碧斗くんにつぶやく。



「いいじゃんか、女の子いるんだから」



そう言って、紫衣羅くんの方に顔を向け反論する。



反論した事で、近かった顔を離してくれた。



(あ、離してくれた・・・・)



「意味がわかりません。てか、いい加減離れてやれ」



紫衣羅くんの注意にしぶしぶ、碧斗くんは私から離れてくれた。



「君は性欲とかないの~?」



私から離れると同時に碧斗くんは紫衣羅に嫌味ぽく言う。



「別にそんなのいらないでしょ。興味ないし」



碧斗くんの嫌味に紫衣羅くんに効くこともなく、むしろどうでもいいような表情を向けた。



「えー!性欲がないなんてっ そんな良い顔してるのに引く~」



あきらかに驚いた顔で紫衣羅くんにぼやく。




「お前にいわれたくねえ!」



碧斗くんの少々しゃくにさわる言い方に、紫衣羅くんが少し荒げた口調を放った。



「あれ?怒った?なんかガラ悪くなった?てか、そんな言い方もするんだ」



「!?あ・・・」



碧斗くんはなんとなく言った言葉だったのだが、紫衣羅くんが言った言葉にしまったという顔になる。



「?ん?」



「あ、いや、なんでも」



気にされないように一瞬顔をそむける。