私は落胆する感情に浮かない言葉を漏らす。



「・・・・友達とか、いるとは思えないです」



「えっ」



「多分だけど、私には友達はいないと思う。それに家族だって、いるとは思うけど、けど・・・・」



そこで、言葉を詰まらせる。



「沙紅芦ちゃん・・・・」



「何もないの、私には・・・・。記憶があってもなくても、同じなんだと思う」



「・・・・そっか」



(!)



「ごめんね」




そんないたたまれない私を見て、碧斗くんは少し悲しそうに遠い目をはせるかのような瞳で見つめて、私の頭を優しく撫でた。




「・・・・・碧斗くん」



「気を悪くさせちゃったね、ごめんね」



「いえ、そんな・・・・」




すると碧斗くんは、また少しだけ悲しそうな目を向けた。



「君はどこか心に何か、つらい感情があるんだね」



「えっ」



「もしかしたら、ここで何か生まれるものが出来ればいいのにね。そしたら、何か変わるのかな・・・・」



(・・・・?)




今のはどういう意味なんだろう。



確かに、何かが生まれば変わることができるのかもしれない。



そしたら、私も変わるのかな・・・・。




(あれ?)




変わるって何に?



何に変わりたいと思ったんだろう?



わからないけど、そうなればいいけど・・・・。