「わからない」




私はぽつりとそう言葉を漏らした。




「えっ?」




私の言った言葉に、全員が驚いた表情を向けられる。




「わからないんです・・・・」




「わからないってどういう事だよ」



私の言った言葉に、赤い髪の人は怪訝そうな表情で私に問い詰める。




「それってつまり、記憶が飛んでるって事?一時的に」




それに対して、グレーの三つ編みの人は何気なく尋ねる。



「・・・・・・・・」



そんな事を聞かれても、正直どうして記憶がなくなってしまっているのか全く分からないから、どう答えたらいいのか本当に分からない。




グレーの髪の三つ編みの男の人は、続けるように私に尋ねる。




「一時的なものではなさそうだね。
じゃあさ、どこまで覚えてる?自分の事は覚えてるよね?」




(自分の事・・・・?)



尋ねてきた内容に、考え込むものの全く出てこなかった・・・・。




「ごめんなさい、全く分からないです」




申し訳なさそうに、頭を少し下に向ける。




「あーーマジか」




「はい・・・・」




自分の事さえも分からないとなると、さすがに唖然となっているようだ。




何度も思い出そうとしたけど、やはり何も思い出せない。




それどころか、心に何かがぽっかり空いたかのような感じである。




忘れてはいけない何かがあったはずなのに、それさえも分からない。




「・・・・・・・・」




「記憶喪失というものですか」




私の記憶のなさにみんなが困った空気の中、綺麗な顔立ちのした人が空気を入れ込むように口を開いた。



「みたいですね」



「確かにここに来た時、皆さん同じように意識を持ったままに来たのですが、彼女だけは眠った状態のままで来たようですし。それも何か、理由があるのでしょう」




(理由・・・・意味・・・・?)



「まあ、彼女の事で悩むのもあれですけど。今はここがどこでどうやって出るか方法を考えるべきでしょうね」



「そうだね。さて、どうするか」




「・・・・・・・・」



私の事も考えるべきだけど、とりあえず先に考えなければないのは、ここからどうやって抜け出すかという方法。




そもそも、ここは一体どこなんだろう。