『ふふ、お目覚めのようですね』




「!?・・・・誰?」




(この声)




突然聞こえてきたその声は、聞き覚えのあるあの声だった。




またあの声が聞こえてきた。




今度は頭に送り込んでくる感じではなく、耳から聞こえてくる声だった。







「っ!?」





すると唐突に、真っ暗な暗闇の中から、突如に眩い程に眩しい光が目の前に現れ、その中から女の子が現れた。






「・・・・おんなのこ?」






『ふふ♪』




その女の子は、うさ耳の付いた帽子をここまでかという程に深く被り鼻のあたりまで隠れている為に口元だけで表情がよく分かりづらい感じだった。



「あなたは・・・・誰?」




私は静かにその女の子に尋ねた。





すると女の子は、私の質問にニコッと口元を上げ、こう答える。




『それはまだ、お答えできません♪』




「えっ」




『ですが、1つ言っておきたいことがあります』




「言いたい事?」




「あなたは何を知ってるの?」




そもそも、どうしてお互い知らない仲だというのに、この子はこんなにも私の事を知り尽くしているというのだろうか。




見ず知らずの少し怪しめの女の子に、突然、意味不明な言葉を浴びさせられたら、怪訝な気持ちになるのが普通だが私はなぜかそんな感情にはならず、むしろ納得してしまった感情になっていた。




私の質問に女の子は、突然、不気味な笑い声を漏らしながら意味不明な言葉を浴びせる。




『鏡を見てご覧なさい♪
あなたはいつか支配されますよ、心の闇というものに。それでもよかったら、鏡を見てご覧なさい♪うふふ♪』



「!・・・・?」




不気味な笑みを漏らしながら、私の掌に何かを置かれる。




「これは・・・・?」




『鏡ですよ♪』



「鏡?」




鏡でも開く形のコンパクト形の鏡のようだ。





すると、女の子は静かな声で意味深な言葉を放つ。




『大事なものを取り戻したいと思うなら、刻が来るまで開けてはいけませんよ』




「えっ刻? 刻って何ーーーー!?」






その途端━━━視界が大きく揺れぷつりと遮断するかのように、また真っ黒になる。







「・・・・・・・・・・・・・・・・っ」




何が起きているの?





ここは一体・・・・・・・・。