「どうだった?」



リビングに戻ってくると、紫衣羅くんが気にするように声を掛けてくる。



「うーん、なんか1人にしてほしいって。少ししたら元に戻るから、だって」



「そっか」



「大丈夫かな」



先程の碧斗くんのつらそうな表情を思い出し、気にするようにつぶやく。



「大丈夫だと思うけどな」



紫衣羅くんはどこかあっさりな言い方をするが、続けて言った紫衣羅くんの言葉の曖昧な感覚が浮かんだ。



「でも、碧斗のような性格って俺と違ってオープンだから隠すのは苦痛だろうな。俺はばれる事なく隠せるけどなー」



(・・・・・・・・・・・・えっ)




今のどういう意味?




ものすごく意味深で暗い感情が紫衣羅くんから出ていた。



「あ、帰ってきたんですね。朝食できましたよ」



紫衣羅くんと話していると、朱笆さんがリビングに来て呼びに来る。



「碧斗くんはまだですか?」



「ああ、はい。もう少ししたら戻ってくると思います」



「そうですか、じゃあ先に食べておきましょうか」



「はい」



朱笆さんはあまり気にしていない素振りだけど、心配してないんだろうか。






朝食を終えたが、結局碧斗くんは現れなかった。



「碧斗、戻ってこないな」



「・・・・うん」


(碧斗くん・・・・)






「仕方ない、片付けるか」


「そうですね」



そう言って恣枦華くんは、立ち上がりキッチンへと向かう。




と、その時━━。



【ガチャ】



「!碧斗くん」



リビングの扉が開き碧斗くんが入ってくる。



「あはは、ごめんね〜。遅くなっちゃって♪」



碧斗くんはいつもの明るい表情で入ってきた。


先程、部屋を訪れた時には元気なさそうだったけど、もう大丈夫なのだろうか?



「もう、大丈夫なんですね」


(!)


朱笆さんは何気なく碧斗くんに近付き声を掛ける。



「うん、もう大丈夫」



さっきは心配してなさそうな素振りだったけど、やはり心配していたんだ。



(そっか、そうだよね)