「お姉ちゃん!」



「!」




ふと部屋の扉が元気よく開けられ、妹の桜来螺〈さくら〉が現れる。



「桜来螺?」


「お姉ちゃん!今ね、面白いTVやってるの。一緒に見ない?」



「・・・いいよ、別に」



けど妹の誘いにいつものように冷たく断る。



「そっか」



家では除け者にされてる私だが、桜来螺だけは変わる事なくいつも声を掛けてくれる。



それは、最初から交友的だった。



最近は両親とはあまり話さない私だけど、桜来螺だけは少しだけ家族としての好意的な感情を持てている。



両親は見てくれる事はないけど、彼女だけはいつも見てくれていたというのもあるけど。






一緒にTVを見たかったのか、桜来螺は少ししょんぼりした様子になりながら部屋を出ようとする。


と、ぴたっと足が止まり私の方へ体を向ける。



「あのね、お姉ちゃん」



「?」



「私ね、お姉ちゃん今困ってる事ない?」



「・・・・・・・・」



「何でも相談に乗るよ。
お母さんやお父さんに変な事言われようが、私だけはお姉ちゃんの味方でいるからね」



そう言って、桜来螺はにこっと微笑む。



「・・・・・・・・ありがとう、桜来螺」



「うん」



軽く微笑み返すと、桜来螺は嬉しそうな表情で部屋を出て行った。



「・・・・・・・・」



あの子はいつだって血の繋がってる両親よりも血の繋がっていない私をいつも優先してくれていた。



それが何より不思議で、両親よりは私で友達よりは私で、それがいつも不思議だった。