「もしかして、紫がハートの色って、紫衣羅くんの心や性格を表していますか?」


朱笆さんは憶測の言い方で紫衣羅くんに尋ねる。


「まあ、そういう事ですね」


ある意味、何気ない言い方なのに紫衣羅くんは軽く肯定する。


「ああ、そういう事か!紫衣羅の事に対してのキーワードだったのか」


今ので理解したのか、恣枦華くんはすっきりした顔をする。


「うん、そういう事。ねっ簡単でしょ?だから、自分しかわからないんだよ」


話しが進んでいって置いてきぼりな感じになっているけど、つまりはそういう事だろうか?


この問題は、自分自身の心や感情に対するキーワードという事?


だから、他人がどんなに悩んでも答えは出ないって事?


(そういう事?)



「ふーん。でも、なんで紫なの?」


碧斗くんはなんとなく分かった振りで尋ねる。



「それは・・・・性格だよ」



紫衣羅くんは一瞬戸惑いを見せ答える。



「えっと、どういう事?お前の心は紫なの?」



「俺の中ではそういう事。だって、俺の心の色は正常な色してねえもん」



恣枦華くんの尋ねに紫衣羅くんは別に大した事ではない言い方をする。



「何それ・・・歪んでんの?」



「・・・・はは」



碧斗くんは少し失礼ぽい率直な言い方で尋ねると、紫衣羅くんは否定も肯定もどちらもする事なく、ただ笑う反応をするだけだった。



「否定しねぇのかよ」


笑うしか反応しなかった紫衣羅くんに恣枦華くんは突っ込みを入れる。



「いや、なんとなくあってるから」



「あってんのかよ」



「あ、そろそろ行きましょうか。時間もそろそろまずいんで」


「そ、そうだな」



曖昧な雰囲気になったのもあって、朱笆さんは掛け声を掛ける。






「なんかあれだ・・・・」



ふいに碧斗くんはぼやく声を出す。




「何が?」



碧斗くんの声に紫衣羅くんは首を傾げる。



「紫衣羅の性格がなんか理解してしまった。衝撃的な事に」


「確かにちょっと驚きでしたよね」



(・・・・・・・・)


紫衣羅くんは否定も肯定もする事なく、今度はむしろ無反応で微妙な表情のままだった。