もしかして碧斗くん、先程の塀の壁のこと言おうとしてる?



でも、聞いたとしても答えるはずないと思うけど。




私の予想に碧斗くんはカラクリうさぎに質問をする。




「この空間ってどうやって出来てるの?そもそも俺達をどうやって連れてきた訳?おかしいよね」



碧斗くんの質問にカラクリうさぎは静かな心のない口調で言う。




「お答えできません」と。



「・・・・」



負け時にと碧斗くんは更に質問を続ける。



「指示してるのは、君自身でやっている訳じゃないよね?」



「まあ、そうですね」



「それは誰?」



「それも、お答えできません」



カラクリうさぎは先程と同じ否定の言葉を述べる。




(また、゛お答えできません゛)



「もういいですか?」



カラクリうさぎは少し苛ついた口調で言う。




「まだ」



「まだあるんですか?私も暇じゃないんですよ。そんな戯言に付き合ってられないんですよ」



(戯言って)



苛ついているとしても、もう少し言い方があると思うけど。




「・・・・じゃあ、どうして彼女の記憶を消したの?」



「お答えできません」



「っ」



もう何を質問しても、カラクリうさぎは同じ言葉しか言わないのだろう。




するとカラクリうさぎは溜め息をひとつ吐き、碧斗くんに向ける。



「最初に言いましたよね?真実を知りたいのなら、ちゃんと自分たちにとって大事な想いを見つけてくださいと。それを見つける事が出来なければ、教えてくれる事もできないんです。だから、そんな質問しないでください。
あなた方がちゃんと自分の感情に向き合わなければダメなんです。お分かりましたか?」



決して嫌味ぽくはないけど、カラクリうさぎの言葉は私達からすれば、嫌味のようでそして皮肉のような言い方にも聞えた。



でもそれは、本当の事だから言い訳もできない。




「でも・・・・」




それでも飽きられめきれない碧斗くんは、さらに口論しようとする。



「碧斗」



「!」



紫衣羅くんが碧斗くんの肩を置き、制止させる。



「・・・・分かったよ」



紫衣羅くんの呼び声に、まだ納得していない様子だが、しぶしぶ諦めを見せたのだった。



「理解してくれて何よりです♪」



ようやくしてカラクリうさぎの口元が緩む。




「・・・・・」