「それにしても、変だと思わない?」



碧斗くんは何気なく紫衣羅くんに言う。




「確かに変だよね」



「そうじゃなくて、この空間」




「空間?まあ、そうだよね」




確かにこの空間はおかしい。



おかしいから、様々な事が起きてもおかしくない。




「どういう仕組みで、日本ではない架空の世界を創ったのか。

というか、絶対にあのうさぎちゃんだけじゃないよね。誰かが後ろで動かしていると思わない?」




普段とは違う落ち着いた真剣な表情で、怪しむように考えを述べる。




「それって黒幕みたいな奴って事?」



「うーん、黒幕というかここを創った張本人?」





確かにあのカラクリうさぎだけがこの世界を創ったのかと思うと、色々違和感を感じる。



そもそもカラクリうさぎの見た目は、小学生の10歳ぐらいの女の子で、そんな女の子が創ったとは思えない。



「じゃあ、カラクリうさぎはその人に指示されて動いてるのかな」



碧斗くんの考えに、気になった事を口に出した。



「まあ、あの子が自分で考えて動いてるとは思ってないかな」



紫衣羅くんは、特に驚く表情になることなく、むしろ臆測ような言葉を述べた。




「もしかして、気付いていてた?」



「気付いたというよりは、なんとなく感じてたし。それに、なんとなくだけの感覚でもの言えないでしょ」



「確かにそうだね。でもさ、何かあると思わない?てか何かなきゃおかしいし、意味わかんなくない?」



紫衣羅くんに詰め掛けるように、なぜか彼に近付き言葉を放つ。



「近いよ」



「あ、ごめん」




紫衣羅くんに注意され、数歩下がる。