碧斗くんに連れて来られてのは、正門の入り口。



門は結界が貼ってあって、どう足掻いても門は動かす事は出来ない。




更に言えば、門の向こう側は街の景色になっているが、今まで人も車も通ったものは見た事がない。





「で、ここが何?」



連れて来られた私と紫衣羅くんはキョトンと碧斗くんの次の言葉を待つかのように見やる。




「そこじゃなくて、もう少しこっち」



そう言って、塀になっている壁側を数歩あるいたところでピタッと足を止め、そこの壁側を見る。



私と紫衣羅くんは碧斗くんの後を同じように付いていく。



「ここって、単なる塀の壁だよな」




「そう」




「何かあるの?」



私は不思議そうに碧斗くんに尋ねる。




「うん、ちょっとここ見てて。不思議な事が起きるから」と碧斗くんは言い、塀の壁に近付く。



碧斗くんは、そっと手を壁に触る。



と、その瞬間━━。




「!?」



「えっ?」



(手が入った!?というかすり抜けた!)



私と紫衣羅くんの目に驚愕な出来事が映った。



いや、この空間事態、驚愕なんだけど・・・・。




予想だにしない事に、碧斗くんが壁を触れたと思いきや、その手は壁をすり抜けたのだった。




「どういう事なの?」



私は不可思議な目で碧斗くんに尋ねる。




すると碧斗くんは、淡々とした口調で話す。



「実はこの部分だけ、開いてるんだよ」




「開いてる?いや、すり抜けたよな」



「そう、なんでかわかんないけど」



「ふーん」



紫衣羅くんは、不可思議な目で手がすり抜ける壁へとしゃがみこむ。



「ホントだ。どうなってんだ。
ああ・・・・でも」



同じように手を入れて、体を入れ込むように奥へと差し込む。




「ふう、なるほどね」



体のホコリを払いながら立ち上がる。



「どうしたの?」



「でも、これ途中までで入れられないね」



「そうなんだ」




やはり、途中で結界が張ってあるんだ。