国の実権を握っていたアンスバッハ侯爵の逮捕は、すぐに王都中に広がった。同時に、マデリンとナサニエルの離縁が発表される。彼女は実家に戻され、ふたりの息子に関わることを禁じられた。

ナサニエルは、マデリンの不貞を理由として公表することはなかったが、マデリン付きの侍女たちが、辞職すると同時に言いふらしはじめたため、王都に住む貴族の中で知らぬものはいないような状態となっていた。

バイロン王子が、アンスバッハ侯爵から毒を盛られていたこと、そのために死んだと公表し身を隠していたことも伝えられ、戻ってきたバイロン王子は温かく迎えられた。

そこで彼は、自分がアンスバッハ侯爵の甥であることを理由に王位継承権を放棄する。コンラッド王子もそれに倣ったため、ナサニエル陛下の後を継ぐのは、アイザック第二王子となり、彼の王子への復権も広く周知された。

アンスバッハ侯爵家は爵位返上を言い渡され、マデリンは没落の一途を辿る屋敷で、悲鳴をあげているという。
 アンスバッハ侯爵は今後法で裁かれ、特に輝安鉱の輸出に関しては、隣国ネオロスの高官から密売人の引き渡しを求められているため、こちらでの裁判の結果を受けたのち、ネオロスでも裁かれることが決まっている。