俺は……こいつのような過ちは犯さない。

もし由姫が、俺を好きになってくれるなら——他の女なんか、一生関わらなくても構わない。

俺の世界には、由姫さえいてくれればいい。

たまらなく由姫に会いたくなって、そんな自分の思考に寒気がした。

俺も大概女々しいな……でも、今朝はやけに不安そうだったし、心配だ。

喧嘩の後の顔で会うわけにもいかないと思っていたから、今日は会わないつもりだったが……この程度の怪我ならごまかせるだろ。

もう、今のこいつに用はない。

そう思った時、突然スマホの着信音が鳴り響いた。



「……ちっ……」



天王寺のものらしいが、どうでもいい。

とっとと寮に戻ろうと、天王寺に背を向けた。



「もし、もし……?」

《今どこにいる!?》