そう叫びながら、殴りかかってきた天王寺。



「由姫だけは……誰にも……ッ」



俺は拳を掴んで、天王寺の攻撃を受け流す。

こいつ……思ってたより弱いな……。

こんな拳じゃ、由姫は守れねーだろ。



「こっちのセリフだ」



天王寺の腕を掴み、背中から地面に叩きつける。

お前は何もかも、由姫に不釣り合いだ。



「あいつには、俺が指一本触れさせない」



お呼びじゃねーよ。最初っからな。

降る雨が、勢いを増している。

煩いくらいの雨音が、今は心地よかった。








今日は随分、天候に波があるらしい。

小雨になり、空には陽が顔を出した。



「く、そ……ッ」



もう立ち上がる気力もないのか、地面に倒れ込んでいる天王寺。