学校に向かって歩き出す。

手は離れたまま、

当たり前だよね。


駅からはたった5分

同じ制服を着た人が
いっぱいいるのに

藤はよくわからない所で
曲がろうとしたりしていた。

その度に
『藤、こっち』
と言う私の所に
「ごめん、ごめん」
と笑って藤が戻ってきた。

『藤、方向音痴だね』
3回目で私が言うと
「よく言われる」
と苦笑いしていた。


学校に着いて
藤を職員室まで案内した。

下駄箱からすぐだけど
藤は方向音痴だからって言って着いて言った。

藤はこの距離なら
大丈夫だよと笑っていたけど

もう少し藤と
一緒に居たかった私は
ついていった。

職員室の前で
「ありがとう」
と笑う藤に
帰りも一緒にって
言いたかったけど
なんだか言葉が
出てこなかった。
だから
『どういたしまして』
と笑って返した。