夕飯を食べ終えて
食器を片付けていると

玄関のインターホンが鳴った


玄関を開けると
藤原 悠介が立っていた。

「今晩わ!」

『こんばん わ、』

「俺、今日隣に引っ越してきた藤原 悠介です。
この町初めてでわかんないことだらけだから
いろいろ聞くと思うけど。
よろしく!」

笑顔で言った
藤原 悠介に私は
なんて言ったらいいのか
わからなくなって

『こちらこそ』
とだけ答えた。

「ありがとう!
お隣さんがいい人で良かった。」
そう言って藤原 悠介は
また
笑顔になる。

「あ、ねえねえ!
名前は??」

『川村 香‐カワムラ カオリ‐です。』
「香かあ~
よろしく!
俺のことは藤って呼んで!
香は何年?」

『2年、です。』

「タメかあ~!!!
もしかして北高!??」

『はい…』

「やっぱなあ。
見たことある制服だなって思ってたんだよ~
俺も明日から北高通うから!」

こんな調子で
ハイテンションの藤は
喋り続けた。

私は藤のテンションについていけず、
たまにされる質問に
なぜか緊張して
どもったりしながら答えてた。
藤はいろんな話をした。
部屋を片付けていたら
こんな時間になってしまったこと、
そしてまだ終わっていないこと。
片付けの途中で
夕方のことを思い出して
お礼を言いにきたこと。

夕方はコンビニに行こうとして道に迷って困っていたところで私に会ったこと。

実はここに来るまでも道に迷っていたせいで夕方に引っ越してくることになってしまったこと。

藤は笑いながら話していた。
私もだんだん藤のペースに慣れてきて
笑いながら聞いていた。
いつの間にか普通に喋れるようになって
楽しかった。

しばらく話した後
藤はまだ片付けがあるからと帰って行った。
帰り際に明日学校まで
道案内してほしいと頼まれた。
私はもちろんいいよと答えた。
少し明日が楽しみになった。