翌日、いつものように準備して家を出た。

朝、学校について1番にすることは、グラウンドの整備。

「おはよう」とそこに先生は現れた。

「おはようございます」と笑顔で返す私。

「…答えは出たかな?」と先生。

「はい!よろしくお願いします。今日お兄ちゃんが挨拶来てくれることになったよ」と私が言うと、

「藤堂のお兄さん?彰さんだね。プロ選手の…」と先生が言うので、私は大きく頷いた。

「そうか。先手打ったな?」と先生は言うので、私達は顔を見合せて笑いあった。

「で、アイツはどうだった?」と先生は聞いてきた。

「…厳しいかもしれないって。もし続けてたら、そのときは今以上に酷くなるって。でも本人は割りきってましたよ」と私が言うと、

「そうか…」と先生は言ったきり他の言葉は発しなかった。

しばらくして予鈴がなり、

「早くもどれよー」と先生は言って去っていった。

私は慌てて準備して教室に向かった。

なんとか間に合った私はしれっと椅子に座った。

HRがあり、授業は普通に始まった。

お昼になると、速攻、お弁当をあけて貪るように1人で食べる姿は端から見たら、多分異様だと思う。

けど、そんな事気にしていられない。私は一瞬にして食事を終えると、スマホで動画を見始めた。

皆の練習を撮ったやつで。勝手に分析とかしている。

それをメモ帳に走り書きで書いて、練習の時に、皆に伝えるようにしていた。

けど…今日は…春馬先輩が皆に想いを告げるだろうし、私も腹をくくらなければいけない

相当な覚悟はいる。

けど…約束した、春馬先輩と。甲子園!絶対言って見せる!

そして、これから甲子園を夢見るのが女子であってもいいんだってことを証明したい。

私がその例外になれればいい。

そのために、私は今出来ることをしようって決めている。


放課後ー

私は誰もいないグラウンドにいる。

いつも出来るだけ早く来て、整備したり、用具の点検、ユニフォームのチェックなど、細かい雑用も率先してやっている。

皆に気持ちよく、甲子園目指して欲しいから。

自分だって本当は目指せた…

私が入学する年にはもう女子の参加も認められるようになってた。

でも、例外を作る初めての人になるのはどこか怖かったし、何より、春馬先輩のことを応援したかった。

だから、マネージャーという道を選んだはずだったのに…

まさかこんな形で選手として出なければいけないなんて思いもしなかった。

まして、ケガして出られないのが春馬先輩だなんて…

少しだけ、思ってしまった。

なんで他の人じゃなかったんだろうって…

ダメなんだけど、春馬先輩じゃなかったら良かったって正直心のどこかでは思ってた。

でも、今さらそんな事言っても仕方ない。気持ち切り替えなくちゃ!

そう思って、気合いを入れ直した時だった。