繰り返す。彼は王子である。望めば最高級の料理が手に入る地位に生まれた人だ。それなのに文句の一つも言わずに完食する姿は、未来の王として頼もしいものだった。彼が王位につけばロクサーヌはさらに素晴らしい国になるだろう。
食事を終えたオズは性急に校舎へと戻って行く。
彼にとって学食は憩いの場ではなく、背中から感じるのは哀愁だった。
(本当にこれでいいの? 学食って、もっと楽しそうに食事をする場所じゃないの? そんな風に義務みたいに食べないで!)
カルミアがやるせなさを抱えていると、続いてやってきたのはリシャールだった。
「リシャールさん!?」
(でた、諸悪の根源!)
「校長先生!?」
カルミアとロシュの声が重なる。ただし二人が驚く理由はそれぞれ別にあった。
二人の動揺に気付いていないリシャールは相変わらず穏やかな挨拶を交わそうとしている。
「こんにちは。ああ、カルミアさん。その制服、よく似合っていますね」
(さっそく嫌味!?)
これが船の上だったのなら、まだリシャールの言葉を素直に受け取れていただろう。すべての状況がカルミアの心を荒ませ、リシャールの言葉を湾曲させている。
「身体の方も回復されたようで何よりです」
(これはきっと初日から倒れるとか信じられないと思われているんだわ!)
「その節は大変お世話になりました……」
ロシュがいる前で密偵の話を切り出すわけにもいかず、カルミアは口ごもる。
躊躇うカルミアに変わってロシュが訪ねた。
「校長先生、今日はどうしたんですか?」
「昼休みに学食を訪ねる理由は決まっていますよ」
(お昼を食べにってこと?)
リシャールは当然だと言わんばかりの口調だが、ロシュは尚更信じられないという顔をしている。カルミアにとってもあれを率先して食べに来たのかという気持ちが大きい。
「校長先生って、食事するんですね」
何を当たり前のことを言っているのだろう。
「ロシュ?」
「だって、誰も校長先生が食事をしているところを見たことがないんですよ! 仲の良いオランヌ先生だって、何度呑みに誘っても一度も頷いてもらったことがないって、こないだも愚痴を零してたんですから!」
(やっぱりオランヌもいるのね……)
オランヌは教師として登場する攻略対象の一人だ。
食事を終えたオズは性急に校舎へと戻って行く。
彼にとって学食は憩いの場ではなく、背中から感じるのは哀愁だった。
(本当にこれでいいの? 学食って、もっと楽しそうに食事をする場所じゃないの? そんな風に義務みたいに食べないで!)
カルミアがやるせなさを抱えていると、続いてやってきたのはリシャールだった。
「リシャールさん!?」
(でた、諸悪の根源!)
「校長先生!?」
カルミアとロシュの声が重なる。ただし二人が驚く理由はそれぞれ別にあった。
二人の動揺に気付いていないリシャールは相変わらず穏やかな挨拶を交わそうとしている。
「こんにちは。ああ、カルミアさん。その制服、よく似合っていますね」
(さっそく嫌味!?)
これが船の上だったのなら、まだリシャールの言葉を素直に受け取れていただろう。すべての状況がカルミアの心を荒ませ、リシャールの言葉を湾曲させている。
「身体の方も回復されたようで何よりです」
(これはきっと初日から倒れるとか信じられないと思われているんだわ!)
「その節は大変お世話になりました……」
ロシュがいる前で密偵の話を切り出すわけにもいかず、カルミアは口ごもる。
躊躇うカルミアに変わってロシュが訪ねた。
「校長先生、今日はどうしたんですか?」
「昼休みに学食を訪ねる理由は決まっていますよ」
(お昼を食べにってこと?)
リシャールは当然だと言わんばかりの口調だが、ロシュは尚更信じられないという顔をしている。カルミアにとってもあれを率先して食べに来たのかという気持ちが大きい。
「校長先生って、食事するんですね」
何を当たり前のことを言っているのだろう。
「ロシュ?」
「だって、誰も校長先生が食事をしているところを見たことがないんですよ! 仲の良いオランヌ先生だって、何度呑みに誘っても一度も頷いてもらったことがないって、こないだも愚痴を零してたんですから!」
(やっぱりオランヌもいるのね……)
オランヌは教師として登場する攻略対象の一人だ。