それは突然、なんの前触れもなく起こった。
身体が痺れるほどの咆哮だ。恐ろしい何かが吠えている。
凄まじい勢いで風を切る何かが近付いていた。
その直後、激しい衝撃がカルミアたちを襲う。建物全体が揺れ、奥の厨房からは瓦礫の崩れる嫌な音がする。
厨房にはベルネがいたはずだ。彼女は無事だろうか。カルミアは体制を立て直すとリデロの制止も聞かずに駆け出していた。
リデロが自分を案じてくれていることも理解している。けれどいてもたってもいられなかった。
「ベルネさん!?」
カルミアは血相を変えて厨房に飛び込むが、ベルネは自身の特等席で変わらず湯呑を手にしており、ひとまず無事であることに安堵する。
しかし問題は彼女の見つめる光景にあった。
呆然とするベルネと見つめ合うのは黒い竜。それは壁を突き破り、まるで首だけが生えているような状況だ。
(か、壁、壁から竜が生えて、ていうか厨房の壁に穴!?)
衝撃と瓦礫が崩れるような音はこれが原因だろう。
この状況を射前に、さすがのベルネも言葉が出ないのか、硬直して竜と見つめ合う。その相手である竜は衝撃した影響か、沈黙していた。
「ベルネさんとにかく外に!」
竜を刺激しないよう、カルミアはベルネの腕を引く。ここで暴れられては建物が崩壊する恐れがあるので厄介だ。
「あたしの城、あたしの楽園が……」
カルミアは放心するベルネの腕を引いてフロアへと連れ出し、避難していたロシュたちに続く。
外に出たとたんカルミアたちの頭上に影が差す。それは鳥よりも明らかに巨大なものであり、リデロたちも空を見上げていた。
「何、これ……」
空には無数の黒い影が舞っていた。
身体が痺れるほどの咆哮だ。恐ろしい何かが吠えている。
凄まじい勢いで風を切る何かが近付いていた。
その直後、激しい衝撃がカルミアたちを襲う。建物全体が揺れ、奥の厨房からは瓦礫の崩れる嫌な音がする。
厨房にはベルネがいたはずだ。彼女は無事だろうか。カルミアは体制を立て直すとリデロの制止も聞かずに駆け出していた。
リデロが自分を案じてくれていることも理解している。けれどいてもたってもいられなかった。
「ベルネさん!?」
カルミアは血相を変えて厨房に飛び込むが、ベルネは自身の特等席で変わらず湯呑を手にしており、ひとまず無事であることに安堵する。
しかし問題は彼女の見つめる光景にあった。
呆然とするベルネと見つめ合うのは黒い竜。それは壁を突き破り、まるで首だけが生えているような状況だ。
(か、壁、壁から竜が生えて、ていうか厨房の壁に穴!?)
衝撃と瓦礫が崩れるような音はこれが原因だろう。
この状況を射前に、さすがのベルネも言葉が出ないのか、硬直して竜と見つめ合う。その相手である竜は衝撃した影響か、沈黙していた。
「ベルネさんとにかく外に!」
竜を刺激しないよう、カルミアはベルネの腕を引く。ここで暴れられては建物が崩壊する恐れがあるので厄介だ。
「あたしの城、あたしの楽園が……」
カルミアは放心するベルネの腕を引いてフロアへと連れ出し、避難していたロシュたちに続く。
外に出たとたんカルミアたちの頭上に影が差す。それは鳥よりも明らかに巨大なものであり、リデロたちも空を見上げていた。
「何、これ……」
空には無数の黒い影が舞っていた。