「お恥ずかしい話ですが、今日中にこの国を発たねば仕事に間に合いそうもありません。どうにかロクサーヌへ戻る手段はないものかと困っていたところ、こちらの船がロクサーヌへ向かうと教えていただきました。もちろん代金はお支払いします。どうかロクサーヌまで同行させていただけないでしょうか」
カルミアはまず最低限の情報共有から始めた。
「リシャールさん。最初に断っておきますが、この船は商船です。旅客船ほどの快適な船旅は保障出来ません」
「かまいません。これでも体力には自信がありますし、荒事にもなれています。それなりに魔法も使えるので、到着までお手伝いもさせていただきますよ」
(アレクシーネの校長がそれなりなわけないでしょうが!)
魔法学園の校長になるためには多くの教養と実績、そして高い魔法の技術が要求される。何故なら、学園内で問題が起これば先陣を切るのが校長の役割だ。無論、学園外で問題が起きたとしても頼られる立場にある。
(以前お会いしたアレクシーネの校長は随分ご高齢だったわね。代替わりしたとは聞いていたけれど、これは……)
リシャールの話が嘘でないとするのなら、彼はこの若さでその偉業を達成したということになる。
カルミアは瞬時に頭の中で利益の計算をしていた。
(乗船代はきちんと回収出来る。仮にこの人の身分が嘘だったとしても、悪い詐欺師を一人捕まえられて国が平和になるだけよね)
導き出された結論を鑑みて、損を被る事はないだろうと判断を下した。
「いいでしょう。海の女神は寛容ですもの」
しかしカルミアの決定にリデロが意義を唱える。
「いいんですか、お嬢。こんな得体の知れない奴を乗せて」
それは真っ向からの反論ではなく、最終確認の意味も込められている。言動は軽くもあるが、船長が判断を誤まらないよう、立派に副船長の役割を果たしてくれ頼もしい人物だ。
「問題ないわ」
そう。問題はない。
「仮にこの方の身分が嘘だったとして。よからぬことを企んでいたとして、はたして成功するのかしら。ねえ、リデロ?」
含みを持って訊ねると、リデロは両手を挙げて降参のポーズを取る。
「お嬢の言う通りでーす。俺たちのお嬢、最強!」
カルミアはまず最低限の情報共有から始めた。
「リシャールさん。最初に断っておきますが、この船は商船です。旅客船ほどの快適な船旅は保障出来ません」
「かまいません。これでも体力には自信がありますし、荒事にもなれています。それなりに魔法も使えるので、到着までお手伝いもさせていただきますよ」
(アレクシーネの校長がそれなりなわけないでしょうが!)
魔法学園の校長になるためには多くの教養と実績、そして高い魔法の技術が要求される。何故なら、学園内で問題が起これば先陣を切るのが校長の役割だ。無論、学園外で問題が起きたとしても頼られる立場にある。
(以前お会いしたアレクシーネの校長は随分ご高齢だったわね。代替わりしたとは聞いていたけれど、これは……)
リシャールの話が嘘でないとするのなら、彼はこの若さでその偉業を達成したということになる。
カルミアは瞬時に頭の中で利益の計算をしていた。
(乗船代はきちんと回収出来る。仮にこの人の身分が嘘だったとしても、悪い詐欺師を一人捕まえられて国が平和になるだけよね)
導き出された結論を鑑みて、損を被る事はないだろうと判断を下した。
「いいでしょう。海の女神は寛容ですもの」
しかしカルミアの決定にリデロが意義を唱える。
「いいんですか、お嬢。こんな得体の知れない奴を乗せて」
それは真っ向からの反論ではなく、最終確認の意味も込められている。言動は軽くもあるが、船長が判断を誤まらないよう、立派に副船長の役割を果たしてくれ頼もしい人物だ。
「問題ないわ」
そう。問題はない。
「仮にこの方の身分が嘘だったとして。よからぬことを企んでいたとして、はたして成功するのかしら。ねえ、リデロ?」
含みを持って訊ねると、リデロは両手を挙げて降参のポーズを取る。
「お嬢の言う通りでーす。俺たちのお嬢、最強!」