やがて二人が食事を終えたところでカルミアは席の方へと向かう。

「お口にあいましたか?」

「トマトの味が優しく、大変素晴らしい味付けでした」

 リシャールはいつものようにカルミアのパスタを褒めてくれた。

「あたしもカレー、気に入ったわ!」

「ありがとうございます。実は相談があるんですが、二人とも時間はありますか?」

「今日の午後は授業はありませんから、私たちは大丈夫ですよ。どうかされましたか?」

「明日からも新メニューを始める予定なんですが、メニューを事前に知ることが出来たらと思ったんです。そうすれば食べたいメニューの日に学食に来られますよね。それで、メニューを校内に掲示させてほしいんです。ロシュに相談したら、校長先生か、オランヌ先生が頼りになると聞いたので」

「なるほど、日替わりというわけですね。私たちは飽きずにすみ、掲示を見れば生徒たちも食べたいものを選びやすくなる。それもあらかじめ知ることが出来れば、その日の昼食に迷うことはないと」

 リシャールはカルミアの意図を正確に汲み取り、オランヌは閃いたと手を打った。

「そういうことなら校門前の掲示板がいいんじゃない? あとは正面玄関と、ここにも必要よね。この三カ所でどうかしら」

 オランヌもカルミアの提案に賛成の意思を示してくれる。

「オランヌ先生、ありがとうございます! とても良い場所ですね。嬉しいです」

「それだけ生徒たちも、そしてあたしも学食には期待してるのよ。今日だって生徒(あのこ)たちの学食に行くんだって気迫、凄かったんだから。授業が終わったとたん、みんなあたしを置き去りにして一目散に走り去ったのよ! いつもはのんびり教室を出るくせに!」

 オランヌが悔しさを滲ませ、カルミアは笑うべきなのか悩んでいた。

「ところでカルミア。あたしのことはオランヌでいいわよ。話し方も、もっと気軽に話してちょうだい」

「ですが、先生相手にそういうわけにも」

「あら、カルミアは生徒じゃないでしょ?」

(あ、そういえば……)

 ついプレイヤー気分が抜けていなかったようだ。

(ここでは同僚ってことよね? なら、もう少し気安く接してもいいのかしら)

「それじゃあ、オランヌ。今日はありがとう。またいつでも食べに来てね」

「もちろん! しっかり宣伝もしてあげるから任せなさい!」