ジャケットを被っているから、今どこにいるかはわからなかった。
ただ、エレベーターに乗ったことだけはわかって、蓮さんが鍵を開けた音も聞こえた。
ゆっくりと、ふかふかのベッドの上に降ろされる。
ここは……蓮さんの、部屋……?
「ちょっと待ってろ」
私を下ろして、蓮さんは一旦部屋から出て行ってしまう。
すぐ戻ってきた蓮さんの手には、真っ白のタオルが握られていた。
「由姫、肌傷つくからタオル当てとけ」
私が涙を拭っていることを心配してくれたのか、顔にそっとタオルを当ててくれる蓮さん。
タオル、ふわふわだ……。
あっ……また、涙が……ダメだ、今優しくされたら、涙が止まらなくなりそう……っ。
自分がこんなに弱い人間だったなんて。ほんと、情けないやっ……。
タオルで顔を隠そうとした時、蓮さんが私の肩を引き寄せた。