「……泣いていいからな」 降ってきた優しい声に、胸の奥がジンと温かくなった。 「れん、さん……」 触れた胸から、温もりが伝わってくる。 それが引き金となって、涙が傘を増した。 「……っ、ぅっ……」 泣いちゃダメだ……心配かけちゃいけないのに……。 「……大丈夫だ」 蓮さんの優しい声に、止まらなくなる。 蓮さんは私を抱えたまま、その場から移動した。 私はぎゅっと蓮さんの胸にしがみつきながら、声を押し殺して泣いた。