あたしはいつから、こんな風に我慢するようになったのだろう。



自分の気持ちなんて、最近話してないよ…。



「由乃ー‼︎聞いてよ‼︎野芝さんが声かけてくれたっ‼︎対バンやろーって‼︎どうしよっ、テンション上がりまくるっ‼︎しかも、デッカイとこ‼︎」

「えっ、すごっ‼︎すごいじゃん‼︎」

「夢?これ、夢?」

「夢じゃないよ‼︎やったね‼︎」

「由乃、見に来てくれる…?」

「絶対行くよ‼︎」

「やったぁー。頑張るからね‼︎」



遠くなる。



理音くんが、手の届かない所に…行ってしまう気がする。



理音くん…大好きだよ…。



最後に『好き』って言ったの、いつだった?



ううん、大丈夫。



あたしは理音くんを応援してる。



一緒に頑張るって言ったもん。



だから、迷惑かけないようにしなきゃね。



学校が休みの、日曜日。



理音くんは朝からお仕事で、あたしは今日、父親に会う。



指定されたのは、高級ホテルのレストランだった。