俺はこの大きな舞台で、ただひたすら。



歌うだけ。



いちばん初めにとりあえず歌えば、お客さん達も学習してきてくれたようで。



ノリがヤバイ。



楽しすぎる。



止まらない。



とにかく大声で、この雰囲気を楽しんだ。



モッシュやダイブ。



そんなにノってくれる?



なら、俺もノるよ。



たまらずに出した声は、受け入れてもらえているようだった。



「hackでーす。はじめましてーですよ。まさか呼んでもらえると思ってなくて、こんなデッカいとこに上がれるなんて、俺たちみたいな最近出来ましたーみたいなバンドには夢のようです。泣きそうなの我慢してたら、すげー足震えてきて、でも、そこのデッカいのが気持ち良くてイっちゃいそうだって言うので、楽しんでやらせてもらいます」



何てこと言うんだ、嵐生くん。



信じらんない、マジで。



「下品、嵐生…」

「は?お前が言ってたんだろ」

「そんなこと言ってない。卑猥ー。ゲスの次に卑猥」

「…………リトが喋ってるってことは、すげーノってるみたいなんで、次の曲行って黙らせます。この腐れ童貞」




そのまま嵐生が曲に入ってしまい、俺の童貞疑惑はそのままで。