蓮さんは私が泣き止むまでずっとそばにいてくれた

「晴ちゃんには夢ある?」

「夢…」

父が亡くなってから私は夢なんて考えてなかった

だって夢なんて願ったところで、頑張ったところで叶わないって気づいたから

何も言わない晴を見て全てがわかったように言った

「夢って無限大だと思うんだ。夢を持つことは自由なんだから、どんな小さい夢も大きい夢を持ってもいいって俺は思ってる」

「俺の夢はForeverで世界一になること。世界進出してみんなに愛されるグループになりたい」

蓮さんのキラキラした目を私は直視できなかった

蓮さんはいつだって一直線で

かっこよくて

私もこんな人になりたいって思う

「私…蓮さんのこと好きです。」

龍は驚いたように晴を見た

「でも、大好きな人の夢を壊したくないんです」

「もしこの関係がバレたら、きっと蓮さんは今のように仕事が続けなれなくなっちゃう」

龍さんが芸能人じゃなかったらもっと自分の気持ちに正直に動けたのかな

私があの日あなたを家に呼ばなかったら

女の人を助けてなかったら

あの日あの時間にあの道を通ってなかったら

こんな思いになることはなかった

「俺はあの日、大事な仕事で何度もミスちゃって落ち込んでた」

晴の話を聞いていた彼は、その時初めて口を開いた

「その時に1人で男達に立ち向かう晴を見つけたんだ。その姿を見て俺もこのままじゃだめだって、失敗を恐れずに頑張ろうと思った」

「それと同時に、そんな晴ちゃんの姿に惚れた」

蓮さん…

そんなこと思ってくれてたなんて

「でも、絶対に付き合わなければ良かったって思う時が来ます。私はもう誰かに捨てられるのは嫌…」

「俺は絶対にそんなことしない。君をもう1人にはしない」

1人にしない

ずっとこの言葉が聞きたかった

お父さんが亡くなって

お母さんから見捨てられて

ひとりぼっちの世界で

誰かに1人じゃないよって安心されてほしかったんだ

「これから先、もし世界中が敵になっても、君がいてくれるなら、地位も名誉も何もいらない」

晴の目からは涙が溢れてきた

「もう泣き止んだばっかなのに」

蓮は呆れたように涙を拭ってくれた

「私蓮さんのこと好きです。大好きです」

愛は儚くて

つらくて

苦しい

でも私はこの時初めて愛は温かいものだって気づいたんだ