時刻は夜中の2時を回っていた

家につき、彼はシャワーを浴びている

どんな人なんだろう

悪い人じゃ無さそう…?

ていうか勢いで家あげちゃったけど、大丈夫だったかな

そうこう考えていると服を着た彼がリビングに入ってきた

「いやぁ気持ちよかった。ありがとうね」

「い、いえとんでもな…」

マスクとメガネをとった彼の顔を見た晴は動きを止めた

「あ、あなたまさか…」

「お!俺のこと知ってるんだ」

「知ってるも何も…霧山蓮」

霧山蓮(キリヤマ レン)とは"forever"という国民的バンドグループのうちの1人でボーカルを務めている

え、じゃ、じゃあ今私の目の前にいるのはあの霧山蓮ってこと!?

驚きすぎと笑いながら晴のことを見る彼

「君、名前は?」

「神崎晴です」

名前を聞いた彼は晴に手を出し

「よろしくね。晴ちゃん」

と言った

「ていうかさこんな時間なのに親とかいないわけ?」

「いないですよ。うち親いないんで」

冷蔵庫から麦茶を出しながら答える晴

「いないっていうか、見捨てられてるんですもう…」

「え?」

「最初はごく普通の幸せな家族でした。でも父が小学生の時に亡くなってから、母は変わってしまった」

それまで笑っていた彼は悲しそうな顔で私を見た

「ほとんど家には帰ってこないし、いろんな男と遊び歩いてるんです」

すると晴の目から涙が溢れ出てきた

「え、なんで涙なんか…す、すみません」

目を擦りながら笑って誤魔化す晴

気づくと後ろから彼の温もりを感じた

「惨めですよね。あんなやつのことで泣くなんて…。ほんと笑っちゃいますよね」

「笑わなくていいよ」

え?っと晴は彼の方を向いた

「辛いなら泣いていいんだよ。俺の前で無理しないで」

そう言うと彼は晴にキスをした

優しい優しいキス

「好きです」

「え、今なんて…」

「はるちゃんのことが好き。俺と付き合ってください」

そしてゆっくりと抱きしめた