手紙の文字がにじんだ時

初めて自分が泣いていたのだと気づいた

力が一気に抜けて崩れ落ちた

紙がちぎれそうになるぐらい握って

大きな声で思いっきり泣いた

そして、腕で涙を拭いて晴は外に飛び出した

蓮、ごめんね

ごめん

涙を噛み締めて夢中で走り続けた

着いたのは彼の住んでるマンション

だがインターホンで呼び出しても誰も応答しない

高級なマンションのため、警備員がついていて

数人の警備員がこっちを心配そうにじろじろと見ている

そりゃそっか

こんな一般人がこんなところ来てたら不思議がるよね

晴は諦めて帰ることにした

その道の途中

だめもとで彼に電話をしてみた

プルルルルル……

すると少し驚いた感じが彼の声から感じられた

(もしもし…)

「…ごめん。手紙見た」

(そっか…。ほんとごめん。晴の気持ちも理解せず怒鳴って)

「…」

(晴を失いたくない。俺にとって大切な大切な存在だから。俺、お荷物だなんて思ったこと一度もないよ)

「っ…」

(晴?)

「私だって…。私だって信じてあげられなくて…彼女失格だよ」

(仕方ないよ。あんな姿見たら俺だって誤解するし…)

「本当にごめん」

(晴?手紙で見たと思うけど、俺は晴とこれからもずっと一緒にいたい。少しでもそう思ってくれてるんだったら…)

「そんなの私だってそうに決まってるじゃん!私だって、蓮がいなきゃ…ダメなの。大好きだから」

(俺も大好きだよ。また今度オフの日ゆっくり話そう)

「うん」

空を見上げた

なんて綺麗な夜空なんだろう