そんな忙しい仕事の合間の週末。私は加奈と2人で悠の家にお邪魔した。


高校を卒業してから、それまでのように頻繁に会うことは出来なくなった私達は、2週間に1度のペースで集まって、いろんなことをお喋りしたり、遊びに行く「定例会」と称する集まりを続けている。


しばらくは2週間に1度よりも頻繁に開催されていた会も、やがて就職活動、卒業、就職といった私達の環境の変化に伴い、その開催ペースが落ちて来たことは否めず、まして妊娠、結婚、出産という劇的な状況に身を置いていた悠の参加は、ほとんどなくなってしまった。


しかし、会の消滅は私達の絆が許さなくて、最近はもっぱら私と加奈の2人会として継続されて来たんだけど


「慌ただしい毎日で、正直家の中は、しっちゃかめっちゃかなんだけど、それでも良ければ、遊びに来て。久しぶりに由夏と加奈の顔、見たいよ。」


という悠のお誘いを受け、では喜んでと馳せ参じたわけだ。


当日、悠の喜びそうなケーキやお菓子を持参して、初めて悠と白鳥先輩の愛の巣にお邪魔した私達。


「いらっしゃ〜い。」


ドアが開くと、悠が満面の笑みで迎えてくれる。


「お言葉に甘えて、来ちゃったよ。」


「ううん。こちらこそ、せっかく来てもらったのに、散らかっちゃってるけど、ゴメンね。とりあえず、入って。」


「じゃ、失礼します。」


そう言って、上がらせてもらうと、別に悠が言うほど、散らかってるわけじゃない。


「素敵なお部屋だね。」


私が褒めると


「ありがとう、本当はもっと早く来て貰いたかったんだけど、こっちもバタバタしてたから。」


と答える悠。


「ああ悠のセンスだなぁと思う可愛い、いかにも新婚さんって感じの素敵なお部屋じゃない。」


「まさしく『愛の巣』だね。」


「徹くんにいろいろワガママ聞いてもらったから・・・。」


とはにかみながら言う悠に


「先輩は優しいからね。」


と私が答えると、悠は嬉しそうにコクンと頷く。


そんな話をしながら、部屋の中を見ていると、やがてベビーベッドでスヤスヤと眠る舞ちゃんを発見。


近寄って、見てみると


「うわぁ、大きくなったね。」


と思わず言葉が漏れる。


「生まれた時から、身長も体重もほぼ倍になったんだよ。」


「へぇ、凄いねぇ。」


「ハイハイはまだしないの?」


「さすがにまだね。でも最近はなんか一所懸命にいろいろ話しかけて来てくれるんだよ。もちろん、まだ何を言ってるのかは全然わかんないけど。」


「そうなんだ、可愛いねぇ。」


なんで赤ちゃんの話題になると、みんな笑顔になるんだろうな?