もともとの予定通りではあったが、高校OB会が終わったその足で、俺は仙台に戻った。
「頑張ってね。寒いから、無理してケガなんかしないように。」
わざわざ東京駅まで見送りに来てくれた由夏に
「ありがとう。由夏もあんまり無理すんなよ。」
「うん。」
年明けから、少しずつ一人前のデザイナー扱いされるようになって来たと、この前嬉しそうに俺に言って来た恋人にそう告げると、彼女はコクンと頷いた。
「じゃ、また。」
「聡志・・・。」
憂いを秘めた表情で、俺を見つめる由夏。久しぶりに一緒にいる時間を満喫した俺達だけど、明日からはまた離れ離れの日々。彼女の心の中の悲しみが痛いほど伝わって来る。だって俺だって同じ思いだから。
瞳を閉じた由夏の唇が近づいて来る。俺は由夏の身体を抱き寄せ、その唇をしっかり受け止めた。
やがて、その唇が離れ、見つめ合う2人。俺を見上げる由夏の目からは、一筋、また一筋と涙が溢れる。
「泣くなよ。」
「だって・・・。」
「行って来るからな。」
そう言って、由夏の涙を指で拭ってやると、俺は一瞬微笑んで車両に乗り込む。発車ベルが鳴り響き
「聡志・・・頑張ってね。」
泣き笑いの顔でもう一度そう言った由夏に、俺が1つ頷くと同時に、ドアが俺達の間を遮った。そして静かに、でもあっと言う間に、新幹線はホームを離れて行く。
普段は勝気を装ってるけど、本当は泣き虫で寂しがり屋。そんな姿を俺の前でも滅多に見せない恋人を、列車の中に引っ張り込んでしまいたい。そんな衝動を必死になって抑えていた俺。
(昨日、久々に会ったみどりさんもキレイで、眩しかったけど、俺の彼女だって、結構イケてるぜ。あいつを東京に1人残しとくの、やっぱり心配だな。早く胸張って迎えに行けるようにしねぇと、誰かにさらわれちまうよな。)
そんなことを思いながら、シートに腰を下ろした俺は、表情が段々と厳しくなって行くのを自覚していた。
その日の門限ギリギリに帰寮した俺は、既に寮生のほとんどが帰って来てることを知り、少し焦りを覚えた。
「頑張ってね。寒いから、無理してケガなんかしないように。」
わざわざ東京駅まで見送りに来てくれた由夏に
「ありがとう。由夏もあんまり無理すんなよ。」
「うん。」
年明けから、少しずつ一人前のデザイナー扱いされるようになって来たと、この前嬉しそうに俺に言って来た恋人にそう告げると、彼女はコクンと頷いた。
「じゃ、また。」
「聡志・・・。」
憂いを秘めた表情で、俺を見つめる由夏。久しぶりに一緒にいる時間を満喫した俺達だけど、明日からはまた離れ離れの日々。彼女の心の中の悲しみが痛いほど伝わって来る。だって俺だって同じ思いだから。
瞳を閉じた由夏の唇が近づいて来る。俺は由夏の身体を抱き寄せ、その唇をしっかり受け止めた。
やがて、その唇が離れ、見つめ合う2人。俺を見上げる由夏の目からは、一筋、また一筋と涙が溢れる。
「泣くなよ。」
「だって・・・。」
「行って来るからな。」
そう言って、由夏の涙を指で拭ってやると、俺は一瞬微笑んで車両に乗り込む。発車ベルが鳴り響き
「聡志・・・頑張ってね。」
泣き笑いの顔でもう一度そう言った由夏に、俺が1つ頷くと同時に、ドアが俺達の間を遮った。そして静かに、でもあっと言う間に、新幹線はホームを離れて行く。
普段は勝気を装ってるけど、本当は泣き虫で寂しがり屋。そんな姿を俺の前でも滅多に見せない恋人を、列車の中に引っ張り込んでしまいたい。そんな衝動を必死になって抑えていた俺。
(昨日、久々に会ったみどりさんもキレイで、眩しかったけど、俺の彼女だって、結構イケてるぜ。あいつを東京に1人残しとくの、やっぱり心配だな。早く胸張って迎えに行けるようにしねぇと、誰かにさらわれちまうよな。)
そんなことを思いながら、シートに腰を下ろした俺は、表情が段々と厳しくなって行くのを自覚していた。
その日の門限ギリギリに帰寮した俺は、既に寮生のほとんどが帰って来てることを知り、少し焦りを覚えた。