11月も終わりが近付き、仙台は急速に冬の装いを帯びて来ている。


東北の冬の深まりの速さと、その厳しさを初めて体験した時には、戸惑い、そして驚かされた。もう今からちょうど10年前、俺は13歳の中学1年生だった。


俺たち一家が仙台に転居したのは、あの大震災から2年後、まだまだ生々しい震災の傷跡は随所に見られた。


そして、仙台に戻った今年、俺はE二軍の一員として、東北各地を転戦して来た。今も残る傷跡を目の当たりにし、胸をつかれる思いをしたのは、1度や2度ではない。そして、そんな中でも人々は、ひたむきに前を向いている。


俺達のチ-ムは、そんな人々にとっての心の拠り所になっている。本拠地仙台のみならず、各地で暖かい声援を受けることで、俺はそれを実感した。


俺達への熱い声援が、俺達の力になり、その声援を受けた俺達の戦いが、またそれを応援してくれている人々に勇気と力を与えて行く。


俺達のチ-ムのユニフォ-ムの左肩に縫い付けられている「がんばろう、東北」の言葉。その言葉が、俺達とファン、サポ-タ-とを結びつける懸け橋になり、俺達はそんな人々の期待や思いを背にして、絶対に無様な戦いを繰り広げることなど許されない。


いつもいつも、そんなカッコいいことを考えているわけじゃないけど、それでも


「俺は何の為に、誰の為に野球をやっているのか?」


そんなことを何度か考えさせられた。そんな俺にとってのプロ野球選手としての1年目が過ぎて行こうとしている。