そして翌朝、私はUターンラッシュで超満員の新幹線で、帰京の途についた。見送りには来られなかったけど、聡志は


『明日からまたお互い頑張ろうな。離れててもちゃんと俺は、いつも由夏を近くに感じてるから。』


なんて、LINEを送って来てくれたから


『うん、本当に昨日はゴメン。私もだよ、聡志。愛してるからね。』


と自分でも、赤面モノの返信をしてしまった。


聡志はわかってたんだよ。本当は私の方にこそ、今はまだ、あいつのところに行く決心も覚悟もないのに、ただ一時の感情に任せて、あいつに甘えたくて、わがまま言いたくて、あんなことを言ってるんだって。


それを自分の勇気がなくて、まだ未熟だから、私をまだ呼べないんだって、庇ってくれた聡志。本当に嬉しかった。


そして、あの言葉・・・。


「俺はバカみたいに、あの5歳の時の約束信じてるから。俺にはお前しか、由夏しかいねぇから。」


嬉しかった、本当に嬉しかった。そして、本当にごめんね、疑うようなこと言って。


私だって、あれ本気じゃないからね。だって私も信じてるから、あの約束。


『ゆかちゃん、ぼくのおよめさんになってよ。』
『うん、いいよ。ゆか、さとくんのおよめさんになる。』


・・・5歳の幼稚園児の幼くも無邪気な約束。だけど、あの約束は今も私達の中で生きてる。だって有効期限は永久、キャンセルは不可、なんだから。


2人の絆をしっかり確認できた私は、明日からの仕事に向かって、力をもらい、弾んだ気持ちで、東京に向かっていた。