この後、私はホテルに戻り、窓から見える景色を見ていた。夕方になっても、夏の陽はまだまだ明るく、街は昼間の装いのままだ。


既にシャワ-を浴び、身支度も整えて、聡志を待つ。久しぶりに聡志と身体を重ねる為に。いろいろな思いが、胸の中をよぎる。


待ちわびていた恋人が、この部屋に現れた時には、長い陽はようやく傾き、そろそろ夜の帳が下り始めようとしていた。


「聡志、お疲れ様。」


「ありがとう、待たせてごめん。」


「ううん。」


そんな言葉を交わした後、私達は見つめ合う。


「由夏・・・。」


聡志がそっと私の名を呼ぶ。そしてその声を合図に、私は聡志に身を寄せ、そして彼の首筋に飛び付いた。


「聡志!」


そう言うと、私は聡志に押し付けるように、唇を預ける。まさしくむさぼり合うように、熱くて激しいキスを交わす。離れたくない、離したくない、そう心の中で言いながら。


どのくらいそうしていたのだろう、ようやく唇を離して、また見つめ合う。


「行くぞ。」


そう言うや、私を抱きかかえる聡志。いわゆるお姫様抱っこというモノを初めて体験して、ちょっと動揺してしまった私は思わず


「だ、大丈夫?試合の後なのに・・・。」


と聞いてしまう。


「バ~カ、こんな時に野暮なこと、聞くな。」


ちょっと怒ったように、そう言うと、彼はそのまま私をベッドに横たえると、文字通り私に襲い掛かってきた。私はあっという間に、この身を聡志にさらすことに。唇から始まって、耳、首筋、胸そして・・・。嵐のように、私の身体にキスを落とす聡志。


もはや聡志に身を委ねるだけの私。やがて聡志の顔が、すぐ目の前に戻って来た。見つめ合う私達。


「寂しかった・・・。」


「由夏・・・。」


「寂しかったよ、聡志・・・。」


「ああ。」


「それだけ?」


「由夏?」


「聡志は寂しくなかったの?聡志は平気だったの?ずっと会えなくて、ずっと愛し合えなくて・・・それとも、そういう相手が他にいるの?」


切ない声で、そう聞いた私に


「お前・・・いきなり何言い出すんだよ・・・。」


「だって・・・。」


「わかったよ。」


「えっ?」


「身をもって思い知らせてやる。俺がこの時を、どんなに待ちわびていたかを。」


そう言うや、聡志は荒々しく私の身体を掻き抱いた。


「あっ・・・。」


その直後から、私は聡志からの激しい愛を、その身体に叩きつけられて行った。