試合は、E橋上、S大澤の両先発投手の好投で、ハイテンポで進んでいた。
一軍での経験もある大物ルーキー大澤くんの好投はさすがだけど、こちらの橋上投手もなかなかの出来。聡志の好リードのお陰なんじゃないかな?
5回が終わり、グラウンド整備でのインターバルの間、あまりの暑さに飲み物を買いに売店に向かうと
「あれ?由夏さんじゃないですか!」
と声を掛けられた。こんな所で誰?と驚きながら振り返ると
「あ、満里奈ちゃん。」
大澤くんの彼女の古川満里奈ちゃんだった。
「どうしたの?」
「樹の追っかけして、来ちゃいました~。」
なんと大澤くんが先発すると聞いて、日帰りで試合を見に来たのだという。
「一人で?」
「はい。どうしても樹が投げるとこ、見たくて。お盆で泊まるとこ、全然なくて、日帰りするしかなかったんです。由夏さんも塚原さんの応援ですか?」
「うん、私は昨日と今日、泊まりで。」
「うわぁ~ラブラブですねぇ、羨ましい。」
そんなことを言う満里奈ちゃんは、私達より3つ下の大学2年生。聡志達と同じ大学で、私達はお互いの彼氏を通じて知り合い、何度もスタンドで並んで、彼らを応援した仲だ。一人同士なら、一緒に観戦したかったんだけど、生憎今日は超満員。この後、少し立ち話をして別れた。
試合は、このまま投手戦となったけど、ワンチャンスを生かしたSが3-0の勝利。大澤くんは見事な完封勝ち、一方の橋上投手も踏ん張ったけど、疲れが出た7回に球が高めに浮いて、集中打を浴びて無念の敗戦となった。
「凄いピッチングだったね、大澤くん。このままなら、一軍復帰も近いんじゃない?」
試合が終わり、出口で待ち合わせた私と満里奈ちゃんは、また話をした。
「ありがとうございます、そうだといいんですけど。」
と言いながら、満里奈ちゃんは満面の笑み。
「塚原さんも今日はフル出場でしたね、レギュラ-に一歩近づいたって感じですよね。」
満里奈ちゃんはそう言ってくれたけど、橋上投手の球威が落ちているにも関わらず、強気に内角を攻め続けた聡志のリードに、疑問を呈する声は、私の周りの観客からも上がっていた。
「じゃ、すみません。電車の時間があるんで、お先に失礼します。」
「えっ、大澤くんに会って行かないの?」
「はい、樹はこのまま今夜のうちに東京に戻って、明日はお休みなんで、会う約束してるんです。」
「そうなんだ。」
「塚原さんによろしくお伝えください。」
そう言って、私にペコリと頭を下げると、満里奈ちゃんは足取り軽く歩き出した。大澤くんは東京が本拠地のチ-ムだし、満里奈ちゃんは学生。会える機会は、私達に比べて、遥かに多いはず。
(いいなぁ・・・。)
彼女の後ろ姿を見送りながら、私は思ってしまっていた。
一軍での経験もある大物ルーキー大澤くんの好投はさすがだけど、こちらの橋上投手もなかなかの出来。聡志の好リードのお陰なんじゃないかな?
5回が終わり、グラウンド整備でのインターバルの間、あまりの暑さに飲み物を買いに売店に向かうと
「あれ?由夏さんじゃないですか!」
と声を掛けられた。こんな所で誰?と驚きながら振り返ると
「あ、満里奈ちゃん。」
大澤くんの彼女の古川満里奈ちゃんだった。
「どうしたの?」
「樹の追っかけして、来ちゃいました~。」
なんと大澤くんが先発すると聞いて、日帰りで試合を見に来たのだという。
「一人で?」
「はい。どうしても樹が投げるとこ、見たくて。お盆で泊まるとこ、全然なくて、日帰りするしかなかったんです。由夏さんも塚原さんの応援ですか?」
「うん、私は昨日と今日、泊まりで。」
「うわぁ~ラブラブですねぇ、羨ましい。」
そんなことを言う満里奈ちゃんは、私達より3つ下の大学2年生。聡志達と同じ大学で、私達はお互いの彼氏を通じて知り合い、何度もスタンドで並んで、彼らを応援した仲だ。一人同士なら、一緒に観戦したかったんだけど、生憎今日は超満員。この後、少し立ち話をして別れた。
試合は、このまま投手戦となったけど、ワンチャンスを生かしたSが3-0の勝利。大澤くんは見事な完封勝ち、一方の橋上投手も踏ん張ったけど、疲れが出た7回に球が高めに浮いて、集中打を浴びて無念の敗戦となった。
「凄いピッチングだったね、大澤くん。このままなら、一軍復帰も近いんじゃない?」
試合が終わり、出口で待ち合わせた私と満里奈ちゃんは、また話をした。
「ありがとうございます、そうだといいんですけど。」
と言いながら、満里奈ちゃんは満面の笑み。
「塚原さんも今日はフル出場でしたね、レギュラ-に一歩近づいたって感じですよね。」
満里奈ちゃんはそう言ってくれたけど、橋上投手の球威が落ちているにも関わらず、強気に内角を攻め続けた聡志のリードに、疑問を呈する声は、私の周りの観客からも上がっていた。
「じゃ、すみません。電車の時間があるんで、お先に失礼します。」
「えっ、大澤くんに会って行かないの?」
「はい、樹はこのまま今夜のうちに東京に戻って、明日はお休みなんで、会う約束してるんです。」
「そうなんだ。」
「塚原さんによろしくお伝えください。」
そう言って、私にペコリと頭を下げると、満里奈ちゃんは足取り軽く歩き出した。大澤くんは東京が本拠地のチ-ムだし、満里奈ちゃんは学生。会える機会は、私達に比べて、遥かに多いはず。
(いいなぁ・・・。)
彼女の後ろ姿を見送りながら、私は思ってしまっていた。