「なんか、あっという間に時間が過ぎて行きますね。」


ハンバ-ガ-をぱくつきながら私がそう言うと


「今までだって、自分に似合いそうな洋服探して、ブティック巡りしてたでしょ?」


「はい。」


「それに、こうやってご飯食べながら下を見れば、街を歩いてる人達が自然に目に入って来るから、今どんな色目が流行してるかとかもわかってくる。私達はデザイナーになるくらいファッションに興味持ってたんだから、たぶんそんなこと自然にしてたんだよ。ただ学生時代まではそれは自分の為にだけだったけど、これからはそれを仕事にも活かすようにする。発想の転換だよ。難しく考えることなんかないんだよ。」


そう言って陽菜さんは笑った。


「もちろん今日みたいに、ブティック周りするばかりが、休日の過ごし方じゃない。友達とご飯食べる時もあれば、彼氏と海辺にドライブに行ったりもするよね。もちろんそれはちゃんと楽しんで、でもせっかく外にいるんだから、ちょっと周りを観察すれば、何か気が付くことがあるかもしれないんだから。そう言えば、由夏はGWに仙台行ったんだよね。」


「はい。」


「東京を離れた時なんて、チャンスだよ。私達は海外の流行とかには敏感だけど、国内のことになると、どうしても東京から物を見たり考えがち。でも、ファッションの流行が必ずしも東京発じゃないことなんて、私達は知識としては知っていても、どうしても自分達がそこを生活拠点にしてることもあって、その発想から逃れられない。だから、まぁ首都圏を離れる時間もなかなか取れないんだけど、由夏なんてこれから仙台通いでしょ?そういう機会は大事にしないと。」


「通いってほど行けないと思いますけど・・・。」


ちょっとからかうようにそんなことを言う陽菜さんに、私は照れ臭くて下を向く。


「なんて、偉そうに言ってるけど、これ全部平賀さんから教わったこと。」


「陽菜さん・・・。」


「そう教えられて、実際にそうして来て、とりあえず間違ってないって実感出来てるから、こうやって由夏にも伝えられるんだ。」


「はい。」


そんな陽菜さんの言葉に、私は深く頷いていた。