中学卒業と同時に離れた仙台に、入団発表の為に、7年ぶりに帰った俺は、自分でも戸惑うくらいの熱烈な歓迎を受けた。


記者会見で向けられたフラッシュの量は、同期のドラ1、川上憲一(かわかみけんいち)を凌ぐんじゃないかと思うくらい、眩かったし、年が明けて、始まった新人合同自主トレでの取材も川上以上に受けた。


自主トレやキャンプの観客動員も例年を上回ったそうだし、俺に向けられた声援も多かったと肌で感じていた。


高校や大学時代、黄色を中心とした大きな声援を受ける先輩や仲間達を横目で見て来た経験は何度もあったが、自分がその対象になるなんて、想像も想定もしたことがなかったから、嬉しさとかより戸惑いの方が大きかった。


「君は昔、仙台に住んでたことがあるから、東北の人達はみんな地元出身選手と思ってくれてるし、なんと言っても二刀流だからな。注目されるのも無理はないよ。」


と球団関係者に言われた。仙台に住んでいたと言っても3年間だけだし、それも正直に言えば、我が家は仙台に馴染めずに神奈川に帰ったのだから、そんな風に言われるとこそばゆかった。