久しぶりに泣き虫由夏に戻ってしまった私は、とにかく泣いた。泣き続けた。そしていつの間にか眠り、そして目覚めた。
ハッとして、急いでシャワーを浴び、そしてチェックアウトした。今はもう、一刻も早く、この街を離れたかった。
新幹線を待ちながら、ふと私は携帯を取り出した。この街に、キチンとお別れを告げなくてはいけない人がいることを思い出したのだ。
『あら、由夏ちゃん。しばらく。』
電話越しに聞こえて来た声は、いつもの通り、朗らかだった。
聡志の初勝利を祝い、いつ、こっちに来るのと明るい声で聞かれた私が、聡志との仲がダメになり、これから神奈川に帰るところですと告げると、堀岡さんの奥さんが息を呑むのが、はっきりわかった。。
「いつも暖かく迎えていただいて、美味しいお料理をたくさんご馳走していただいて・・・あんなにいろいろお世話になったのに、こんな形でしか、お別れのご挨拶が出来ない失礼をお許し下さい。マスターにも、よろしくお伝え下さい。」
『由夏ちゃん・・・。』
「あと、聡志のこと、これからも応援してやって下さい。ありがとうございました。」
そう言うと、携帯を持ったまま、私は一礼した。
そして、間もなく、私は仙台の街に別れを告げた。
(さようなら・・・仙台。堀岡さん、お元気で。そして、聡志、私はこれからもあなたを応援して行くから。あなたのことを忘れることはないから。例え、側にいることは出来なくなっても、私にとっては大好きで、大切な幼なじみだから・・・。)
また溢れ出して来そうな涙を、私は止めるように目を閉じた。
夕方に家に帰り着いた私を、両親は驚きの表情で迎えたが、私の口から、昨夜の顛末を伝えると、言葉を失った。
そして、少しすると、大袈裟ではなく、血相を変えて、我が家に飛んで来た塚原のおじさんとおばさんは、土下座せんばかりに、私と両親に侘びたあとは、怒り出した。
「あのバカ息子が何を考えてるんだ。とにかく、我々が責任を持って、ちゃんと言い聞かせるから、今日のところは忍んでくれ、由夏ちゃん。この通りだ。」
そう言って、また頭を下げるおじさん達に
「もう止めて下さい。これは人の気持ちの問題ですから・・・仕方ないと思います。聡志が悪いとか、私が悪いとかいう話じゃないですから。まして、おじさんとおばさんに謝っていただくことじゃ・・・。」
二人の様子を見かねて、私は言うけど
「いいや、聡志が悪い。母さん、今から支度して、明日朝一であのバカの所に乗り込むからな。」
「わかりました。由夏ちゃん、岩武さん、本当にごめんなさいね。」
そう言って、平身低頭のまま、帰って行った。私はまた、いたたまれない気持ちにさせられていた。
そして、それからはボンヤリして過ごした。両親からは気分転換に外食をと誘われたけど、その気にならないと断り、何事も相談し、報告し合って来た2人の親友にも、さすがに今は何も言いたくなかった。
ハッとして、急いでシャワーを浴び、そしてチェックアウトした。今はもう、一刻も早く、この街を離れたかった。
新幹線を待ちながら、ふと私は携帯を取り出した。この街に、キチンとお別れを告げなくてはいけない人がいることを思い出したのだ。
『あら、由夏ちゃん。しばらく。』
電話越しに聞こえて来た声は、いつもの通り、朗らかだった。
聡志の初勝利を祝い、いつ、こっちに来るのと明るい声で聞かれた私が、聡志との仲がダメになり、これから神奈川に帰るところですと告げると、堀岡さんの奥さんが息を呑むのが、はっきりわかった。。
「いつも暖かく迎えていただいて、美味しいお料理をたくさんご馳走していただいて・・・あんなにいろいろお世話になったのに、こんな形でしか、お別れのご挨拶が出来ない失礼をお許し下さい。マスターにも、よろしくお伝え下さい。」
『由夏ちゃん・・・。』
「あと、聡志のこと、これからも応援してやって下さい。ありがとうございました。」
そう言うと、携帯を持ったまま、私は一礼した。
そして、間もなく、私は仙台の街に別れを告げた。
(さようなら・・・仙台。堀岡さん、お元気で。そして、聡志、私はこれからもあなたを応援して行くから。あなたのことを忘れることはないから。例え、側にいることは出来なくなっても、私にとっては大好きで、大切な幼なじみだから・・・。)
また溢れ出して来そうな涙を、私は止めるように目を閉じた。
夕方に家に帰り着いた私を、両親は驚きの表情で迎えたが、私の口から、昨夜の顛末を伝えると、言葉を失った。
そして、少しすると、大袈裟ではなく、血相を変えて、我が家に飛んで来た塚原のおじさんとおばさんは、土下座せんばかりに、私と両親に侘びたあとは、怒り出した。
「あのバカ息子が何を考えてるんだ。とにかく、我々が責任を持って、ちゃんと言い聞かせるから、今日のところは忍んでくれ、由夏ちゃん。この通りだ。」
そう言って、また頭を下げるおじさん達に
「もう止めて下さい。これは人の気持ちの問題ですから・・・仕方ないと思います。聡志が悪いとか、私が悪いとかいう話じゃないですから。まして、おじさんとおばさんに謝っていただくことじゃ・・・。」
二人の様子を見かねて、私は言うけど
「いいや、聡志が悪い。母さん、今から支度して、明日朝一であのバカの所に乗り込むからな。」
「わかりました。由夏ちゃん、岩武さん、本当にごめんなさいね。」
そう言って、平身低頭のまま、帰って行った。私はまた、いたたまれない気持ちにさせられていた。
そして、それからはボンヤリして過ごした。両親からは気分転換に外食をと誘われたけど、その気にならないと断り、何事も相談し、報告し合って来た2人の親友にも、さすがに今は何も言いたくなかった。