「なんだ?あんたと2人きりの方が、よっぽど危ないって顔してるな。」
「い、いえ。そんなことは・・・。」
苦笑いしながら、そんなことを言って来た平賀さんに、私は慌てて首を振るけど、実は・・・ね。
「安心しろ。お前を本気で口説く気なら、あのことがあった直後から、しばらくのお前の動揺に気付かないふりして、見過ごしたりしないよ。」
「えっ?」
その言葉に驚く私に
「さ、仕事だ。最後の、な。」
そう言って、私の肩をポンと叩くと、平賀さんは自分のデスクに向かう。
(平賀さん・・・。)
そんな平賀さんの後ろ姿を、やや呆然と見つめていた私は、次の瞬間、ハッとして、デスクに取り付いた。
時間はまた過ぎて行く。さっきの動揺もようやく落ち着いて、私はまたパソコンに向かう。
画面に、既に決定稿となった男子の制服、更にはこれまでの制服が継続使用となる生鮮部門以外の食品部門とレジ担当用の制服を改めて出してみた。
食品担当は、Yの方からの要望で制服の上に、エプロンを着用することになっていて、そのデザインは完成している。更に髪の毛が商品に落ちたりするのを防ぐ為に、男子はキャップ、女子はベレー帽を着用し、いずれも制服より濃い目のブルーで、デザインしている。
(女子のベレー帽、なかなか可愛いよね・・・。)
そんなことを思いながら、画面を見つめていた私は、やがてハッとした。
(そうか・・・装飾品だよ。色目じゃなくて、何かワンポイントになる飾りを付ければ・・・なんでこんなことに気が付かなかったんだろう。)
次の瞬間、私の頭に浮かんだのは、高校時代の制服だった。私達の高校は女子はネッカチーフで、学年を示していた。
「これだ!」
突然大声を出して、立ち上がった私に
「おい岩武、どうした?」
と平賀さんが驚いて、声を掛ける。
「平賀さん、わかりました。もう大丈夫です!」
「岩武・・・。」
「あとは私にお任せ下さい!」
そう言うと、唖然としている平賀さんを尻目に、私はパソコンに取り付いた。
そして、それから数時間後・・・。
「出来た・・・。」
ポツンと呟いた私の言葉に、自分の作業に没頭していた平賀さんが、ハッとこちらを見た。
「岩武。」
「平賀さん、見て下さい。」
「ああ。」
そう言って、席を離れて、こちらにやって来た平賀さんは、パソコンを覗き込む。
「なるほど、ネッカチーフか・・・。」
右の首元に、やや制服より濃い目の青のネッカチーフを付けてみた。
「どうですか?」
「いいワンポイントになってる。よく思い付いたな。」
「はい。」
「これで、明日は自信を持って、納品出来る。岩武、よくやってくれた。」
「平賀さん。」
私達は笑顔を交わしあった。
「い、いえ。そんなことは・・・。」
苦笑いしながら、そんなことを言って来た平賀さんに、私は慌てて首を振るけど、実は・・・ね。
「安心しろ。お前を本気で口説く気なら、あのことがあった直後から、しばらくのお前の動揺に気付かないふりして、見過ごしたりしないよ。」
「えっ?」
その言葉に驚く私に
「さ、仕事だ。最後の、な。」
そう言って、私の肩をポンと叩くと、平賀さんは自分のデスクに向かう。
(平賀さん・・・。)
そんな平賀さんの後ろ姿を、やや呆然と見つめていた私は、次の瞬間、ハッとして、デスクに取り付いた。
時間はまた過ぎて行く。さっきの動揺もようやく落ち着いて、私はまたパソコンに向かう。
画面に、既に決定稿となった男子の制服、更にはこれまでの制服が継続使用となる生鮮部門以外の食品部門とレジ担当用の制服を改めて出してみた。
食品担当は、Yの方からの要望で制服の上に、エプロンを着用することになっていて、そのデザインは完成している。更に髪の毛が商品に落ちたりするのを防ぐ為に、男子はキャップ、女子はベレー帽を着用し、いずれも制服より濃い目のブルーで、デザインしている。
(女子のベレー帽、なかなか可愛いよね・・・。)
そんなことを思いながら、画面を見つめていた私は、やがてハッとした。
(そうか・・・装飾品だよ。色目じゃなくて、何かワンポイントになる飾りを付ければ・・・なんでこんなことに気が付かなかったんだろう。)
次の瞬間、私の頭に浮かんだのは、高校時代の制服だった。私達の高校は女子はネッカチーフで、学年を示していた。
「これだ!」
突然大声を出して、立ち上がった私に
「おい岩武、どうした?」
と平賀さんが驚いて、声を掛ける。
「平賀さん、わかりました。もう大丈夫です!」
「岩武・・・。」
「あとは私にお任せ下さい!」
そう言うと、唖然としている平賀さんを尻目に、私はパソコンに取り付いた。
そして、それから数時間後・・・。
「出来た・・・。」
ポツンと呟いた私の言葉に、自分の作業に没頭していた平賀さんが、ハッとこちらを見た。
「岩武。」
「平賀さん、見て下さい。」
「ああ。」
そう言って、席を離れて、こちらにやって来た平賀さんは、パソコンを覗き込む。
「なるほど、ネッカチーフか・・・。」
右の首元に、やや制服より濃い目の青のネッカチーフを付けてみた。
「どうですか?」
「いいワンポイントになってる。よく思い付いたな。」
「はい。」
「これで、明日は自信を持って、納品出来る。岩武、よくやってくれた。」
「平賀さん。」
私達は笑顔を交わしあった。