俺が今夜、一軍の宿舎に移るのを止めた1つの理由に、長谷川を避けたいという気持ちがあったのは、間違いない。
その一方で、一軍と二軍の宿舎は、少し離れているが、でも、長谷川は会いに来るだろうな、という気もしていた。それを避けるなら、みんなと同じように外出してしまえばよかったのだが、俺はそれをしなかった。
会わない方がいいと思う反面、話をしなくちゃいけないのかな?という矛盾した思いが、俺の中にあったのかもしれない。
「一軍昇格おめでとう。」
「ありがとう。」
「昨日、完璧なピッチングだったもんね。いいものが見られたよ。」
「・・・。」
「今回のツアー、まだ菅沼さんと付き合ってる時に申し込んだんだ。彼の応援に来ようと思って。でもあんなことになっちゃって、キャンセルしようか、随分迷ったんだけど、やっぱり来てよかった。」
と言って笑顔を見せる長谷川。
「そう言えば、岩武さんは、応援に来ないの?」
「来る予定だったよ、この週末に。でも仕事で来られなくなった。」
「そうなんだ、それは残念だったね。でも岩武さんのお仕事、そんなに忙しいんじゃ、まだまだ当分2人は離れ離れだね。」
そう言って、長谷川は俺に意味深な笑みを向けて来るが、俺は気が付かないフリで
「そう言えば、今夜ウチの選手と、夕食会だったんだろ。盛り上がったか?」
と話題を変える。
「うん、まぁね。お料理も美味しかったし、質問コーナーとかあったり、最後はみんなで記念写真を撮ったりして。」
「菅沼さんとは話さなかったのか?」
ちょっと意地悪く聞いてみると
「選手と個人的に話す機会なんかなかったし、あったとしても、今更あの人と話すことなんか、何もないよ。」
と答えた長谷川の声は、少し尖っていた。
そして流れる沈黙。そう言えば、長谷川がこっちに来てることを、昨日由夏に言わなかったな。そして今も2人きりで会っている。これって、やっぱり隠し事になるよな・・・俺がそんなことを考えていると
「知ってたんでしょ?」
と長谷川の声が聞こえる。
「えっ?」
と問い返すと
「あの人が女性にだらしないこと。」
そう言って、こちらを見る長谷川の視線を、俺は思わず外した。
その一方で、一軍と二軍の宿舎は、少し離れているが、でも、長谷川は会いに来るだろうな、という気もしていた。それを避けるなら、みんなと同じように外出してしまえばよかったのだが、俺はそれをしなかった。
会わない方がいいと思う反面、話をしなくちゃいけないのかな?という矛盾した思いが、俺の中にあったのかもしれない。
「一軍昇格おめでとう。」
「ありがとう。」
「昨日、完璧なピッチングだったもんね。いいものが見られたよ。」
「・・・。」
「今回のツアー、まだ菅沼さんと付き合ってる時に申し込んだんだ。彼の応援に来ようと思って。でもあんなことになっちゃって、キャンセルしようか、随分迷ったんだけど、やっぱり来てよかった。」
と言って笑顔を見せる長谷川。
「そう言えば、岩武さんは、応援に来ないの?」
「来る予定だったよ、この週末に。でも仕事で来られなくなった。」
「そうなんだ、それは残念だったね。でも岩武さんのお仕事、そんなに忙しいんじゃ、まだまだ当分2人は離れ離れだね。」
そう言って、長谷川は俺に意味深な笑みを向けて来るが、俺は気が付かないフリで
「そう言えば、今夜ウチの選手と、夕食会だったんだろ。盛り上がったか?」
と話題を変える。
「うん、まぁね。お料理も美味しかったし、質問コーナーとかあったり、最後はみんなで記念写真を撮ったりして。」
「菅沼さんとは話さなかったのか?」
ちょっと意地悪く聞いてみると
「選手と個人的に話す機会なんかなかったし、あったとしても、今更あの人と話すことなんか、何もないよ。」
と答えた長谷川の声は、少し尖っていた。
そして流れる沈黙。そう言えば、長谷川がこっちに来てることを、昨日由夏に言わなかったな。そして今も2人きりで会っている。これって、やっぱり隠し事になるよな・・・俺がそんなことを考えていると
「知ってたんでしょ?」
と長谷川の声が聞こえる。
「えっ?」
と問い返すと
「あの人が女性にだらしないこと。」
そう言って、こちらを見る長谷川の視線を、俺は思わず外した。