「さぁ、行こう!」
前田監督の掛け声に応えて、俺達はグラウンドに飛び出す。いよいよキャンプの始まり。
思えば4年前、自分でも驚くくらいの報道陣のカメラ、フラッシュのターゲットになりながら、俺は今日と同じように、前田監督の檄に応えて、グラウンドに飛び出した。
あの時は、ガチガチに緊張しながら、でもルーキー選手として、大声を出すことを義務付けられていた俺は、必死に空元気を出していた。
そして今、報道陣の姿もほとんどなく、観客もまばら。俺が実力以上に注目される原因だった二刀流も廃業して、ピッチャー1本でやって行くと決めて、スタートした勝負の年。
悔いなきように、ただそれだけを胸に俺は始動した。
(さぁ由夏、始まったぜ。見ててくれよな。)
遠く離れた恋人に呼び掛け、俺はアップのランニングの先頭に立つ。本来なら、ルーキー選手の役回り、しかし俺は前田監督に頼み込んで、それを買って出た。
もう1度初心に、いやピッチャー専任となった今年は、俺にとってはリセット初年。つまりルーキーと同じ、そんな気持ちからだった。
アップが終わり、俺達投手陣は、早速ブルペンへ。
初日からみんなビシビシ投げ込んで来る。
「おい、開幕は明日だったか?」
視察に来た前田監督が、思わずそんな冗談を口にするくらいの仕上がり。俺達二軍選手に、マイペース、スローペースの調整なんて、あり得ないのだが、それにしてもみんなの気合の入り方は尋常じゃない。
チャンスの年、勝負の年、そう思っているのは俺だけじゃないと言う現実が、ヒシヒシと伝わって来る。
もちろん、俺自身も負けてはいない。キャッチャーを座らせ、文字通りの全力投球で、投げ込んで行く。
「ナイスボール!」
受けたキャッチャーから、感嘆混じりの声が上がる。内心ニヤリとしたいところだが、その声を上げてるのは、実は俺を受けてるキャッチャーだけじゃない。
結局、ブルペンでは、ピッチャー同士の会話はゼロだった。見えない火花がバチバチと散っている、まさしくそんな情景だった。
前田監督の掛け声に応えて、俺達はグラウンドに飛び出す。いよいよキャンプの始まり。
思えば4年前、自分でも驚くくらいの報道陣のカメラ、フラッシュのターゲットになりながら、俺は今日と同じように、前田監督の檄に応えて、グラウンドに飛び出した。
あの時は、ガチガチに緊張しながら、でもルーキー選手として、大声を出すことを義務付けられていた俺は、必死に空元気を出していた。
そして今、報道陣の姿もほとんどなく、観客もまばら。俺が実力以上に注目される原因だった二刀流も廃業して、ピッチャー1本でやって行くと決めて、スタートした勝負の年。
悔いなきように、ただそれだけを胸に俺は始動した。
(さぁ由夏、始まったぜ。見ててくれよな。)
遠く離れた恋人に呼び掛け、俺はアップのランニングの先頭に立つ。本来なら、ルーキー選手の役回り、しかし俺は前田監督に頼み込んで、それを買って出た。
もう1度初心に、いやピッチャー専任となった今年は、俺にとってはリセット初年。つまりルーキーと同じ、そんな気持ちからだった。
アップが終わり、俺達投手陣は、早速ブルペンへ。
初日からみんなビシビシ投げ込んで来る。
「おい、開幕は明日だったか?」
視察に来た前田監督が、思わずそんな冗談を口にするくらいの仕上がり。俺達二軍選手に、マイペース、スローペースの調整なんて、あり得ないのだが、それにしてもみんなの気合の入り方は尋常じゃない。
チャンスの年、勝負の年、そう思っているのは俺だけじゃないと言う現実が、ヒシヒシと伝わって来る。
もちろん、俺自身も負けてはいない。キャッチャーを座らせ、文字通りの全力投球で、投げ込んで行く。
「ナイスボール!」
受けたキャッチャーから、感嘆混じりの声が上がる。内心ニヤリとしたいところだが、その声を上げてるのは、実は俺を受けてるキャッチャーだけじゃない。
結局、ブルペンでは、ピッチャー同士の会話はゼロだった。見えない火花がバチバチと散っている、まさしくそんな情景だった。