その日の練習を終え、ロッカールームで、携帯を確認すると、由夏からLINEが来てた。


『プレゼンが終わった。結果が出るのは、もう少し先だけど、これで取り敢えず、一区切りかな?聡志、今日もお疲れ様。コンディションは大丈夫?頑張るのはいいけど、無理は禁物だからね。』


そうか、とうとう終わったか。これで由夏がこっちに来るのも時間の問題になった。あいつがこっちに来てくれた途端にクビなんて、無様な真似だけは、絶対に許されない。


俺は改めて、身の引き締まる思いだった。


数日後、キャンプの一、ニ軍の振り分けが発表され、俺は二軍スタートになった。正直、一軍を期待していたから、ちょっとガクッと来たが、これも


「這い上がって来い。」


という小谷さん、ひいては野崎監督からの叱咤激励だと思い直し、前を向いた。


その日の練習が終わり、着替えて駐車場に向かうと


「塚原くん。」


とやや遠慮がちの声が。えっと思って振り向いた先にはやはり・・。


「長谷川・・・。」


俺は思わず、複雑な声を出してしまう。


「ごめんなさい。もう会うのも、連絡もダメだって言われてたのに・・・。約束破って、ごめんなさい・・・。」


そう、うつむき加減に言った長谷川が、顔を上げると、俺はハッとなる。長谷川の目から、見る見るうちに、涙が溢れ出して来たからだ。


「長谷川・・・。」


「塚原くん!」


俺が呼び掛けた途端、長谷川が胸に飛びこんで来る。


「お、おい。どうしたんだよ。」


周りには人影はなかったが、かなり困惑する状況に、俺は焦ったが、無下に突き放すことも出来かね、戸惑いながら長谷川に尋ねるが、長谷川はただ泣きじゃくるばかり。


結局、落ち着くまで、俺は長谷川に胸を貸してしまった。誰かに見られたら、誤解されるし、何より由夏に申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、どうしようもなかった。


「ごめんなさい・・・。」


俺から離れた長谷川は、またうつむきながら、謝って来る。


「一体何があったんだ?」


改めて尋ねる俺に


「振られちゃった、菅沼さんに。」


泣き笑いの顔で答えた長谷川の言葉に、俺は凝然となった。