私はそのまま、寝室に引っ張り込まれ、乱暴にベッドの上に押し倒される。


そして、私に馬乗りになり、服に手を掛けようとするから


「嫌、止めて!」


と思わず叫ぶ。


「止めてだと?」


聡志の目がギラリと光る。


「結局、それがお前の本音じゃねぇか。心の中に、他の男がいるくせに、よくもさっきは、一緒に暮らそうとか言えたな。」


「ち、違うよ。だって、まだシャワーも浴びてないのよ。」


「下手な言い訳しなくてもいい。」


「言い訳なんかじゃない。聡志に・・・聡志に抱かれるのが、嫌なわけ、ないじゃない・・・。だから、お願い。落ち着いて。」


私は必死に訴える。そんな私を一瞬、聡志は見つめたけど


「諦めろ。」


と低い声で言う。


「今の俺に優しさとか思いやりなんか、期待してんじゃねぇよ。」


「聡志・・・。」


「ここまで来たら、引けるかよ。嫌なら死ぬ気で抵抗しろ。」


そう言い放つ聡志に


「いいよ。」


そう答えて、私は聡志を見つめた。


「好きにして。私、今日なんでここに来たのか、今わかった。私は聡志に、自分の心の中から、あの人を追い出して欲しかったんだって。」


「由夏・・・。」


「由夏の目を覚まさせて、聡志。」


私のその言葉に、微かに頷いたように見えた聡志は、そのまま文字通り、私に襲い掛かって来た。


荒々しく、剥ぎ取るように私を生まれたままの姿にして行く聡志。愛撫もキスも、いつもとは全く違う。


聡志は怒っている。それは当たり前だ。自分の彼女に「他に気になる人が出来た」なんて、カミングアウトされて、平常心でいられる方が、どうかしている。


(聡志、ごめんなさい・・・。)


そんなことを思いながら、聡志に身を委ねていた私は、いつしかそんな思考を手放し、やがて意識まで手放していた・・・。


そして、気が付くと、目の前に聡志の顔があった。


「聡志・・・。」


そう呼び掛けた次の瞬間、私は唇を塞がれ、そして、容赦ない聡志の手で、激しく胸を揉みしだかれる。さっきの余韻たっぷりの私の身体に、官能の炎が再び燃え上がり始めるのは、あっと言う間だった。


(壊れちゃう・・・。)


正直、そう思った。だけど聡志は許してくれない。私の事情なんか、お構いなしに、私の身体に全てを叩きつけてくる。何度も何度も・・・。


そこには、聡志の激しい怒りと、その裏返しの私への深い愛情が感じ取れた。私には、それを拒む術も理由もなかった。


(聡志・・・。)


私の目に涙が滲む。だけど、それは悲しみの涙ではない、絶対に・・・。