その日、授業を終えた私は、早々に帰路に付いた。
今年の夏は本当に暑かった。気温として暑いのはもちろん、それ以上に暑くて厳しい夏だった。
黒や紺を基調としたリクルートスーツに身を包み、私は、汗まみれになって歩いた、走った、そして懸命に訴えた。
私、岩武由夏という人間が何者で、何がしたいのか、何が出来るのか。
多くの壁にぶち当たり、自分の甘さを思い知らされ、時に涙が溢れそうになった。今までの人生で、最も長くて、辛くて、暑い夏だった。
そんな、絶対に忘れ得ない夏がようやく過ぎて行き、日に日に秋の色が濃くなってきた10月の下旬。
16年も続けて来た「学生」という身分でいられる時間も、もう半年を切っていた。
苦しかった夏が終わり、残り少なくなって来たキャンパスライフを謳歌している私だったが、この日は授業が終わるといつもと違い、友人や仲間達とのおしゃべりやショッピングには目もくれなかった。
「指名されるといいね。」
「私達も祈ってるからさ。」
事情を知ってる友人達が送ってくれる、そんな言葉に
「うん、ありがとう。じゃ、また明日ね。」
と笑顔で応えると、私は足早にキャンパスをあとにした。
今年の夏は本当に暑かった。気温として暑いのはもちろん、それ以上に暑くて厳しい夏だった。
黒や紺を基調としたリクルートスーツに身を包み、私は、汗まみれになって歩いた、走った、そして懸命に訴えた。
私、岩武由夏という人間が何者で、何がしたいのか、何が出来るのか。
多くの壁にぶち当たり、自分の甘さを思い知らされ、時に涙が溢れそうになった。今までの人生で、最も長くて、辛くて、暑い夏だった。
そんな、絶対に忘れ得ない夏がようやく過ぎて行き、日に日に秋の色が濃くなってきた10月の下旬。
16年も続けて来た「学生」という身分でいられる時間も、もう半年を切っていた。
苦しかった夏が終わり、残り少なくなって来たキャンパスライフを謳歌している私だったが、この日は授業が終わるといつもと違い、友人や仲間達とのおしゃべりやショッピングには目もくれなかった。
「指名されるといいね。」
「私達も祈ってるからさ。」
事情を知ってる友人達が送ってくれる、そんな言葉に
「うん、ありがとう。じゃ、また明日ね。」
と笑顔で応えると、私は足早にキャンパスをあとにした。