「私、先月から仙台に転勤になって、塚原くんと再会して。以来、連絡を取らせてもらってます。」
先月からって、もうひと月半も経つじゃない。その間に、何度も電話もLINEもしたし、一昨日からは、一緒にいるのに、聡志はそんなこと、一言も私に言ってくれなかった・・・。
「試合や練習もよく、見させてもらってて。それで先日、Eの選手を塚原くんから紹介していただいて、今、お付き合いさせてもらってるんだ。」
「それって、菅沼選手のこと?」
「うん。」
そのことだって、昨日あいつは言わなかった。なんか様子がおかしいなとは思ったけど・・・。
「彼氏、今博多遠征でさ。それで今日は塚原くんの応援に。」
私の内面の動揺なんかに、全く気付く様子もなく、長谷川さんは、にこやかに話し続ける。
「岩武さんはもう帰るの?塚原くん、ベンチに下がっちゃったもんね。私はせっかくだから、最後までE応援してくよ。じゃあね。」
そう言うと、私に屈託ない笑顔を残して、長谷川さんはスタンドへ戻って行く。その後ろ姿を見送る私は、とても笑顔どころではなかった。
聡志のマンションへの帰り道、私の心は千千に乱れた。とにかくなにがどうなっているのか、理解出来ずに混乱していた。
聡志が、長谷川さんと再会して、以来ずっと連絡を取り合っている。そして、それを聡志は私に隠して来た。
なんで、隠す必要があるの?あいつは一体何をしたかったの?何を考えてるの?
高校卒業間近、私と長谷川さんは、簡単に言えば、聡志を取り合う形になった。
生まれた時からずっと一緒で、幼い頃に結婚の約束なんかして、でも私と聡志は決して順風満帆じゃなかった。
小3の夏休み過ぎ、聡志はクラスメイトにいつも私と一緒にいることをからかわれてから、私を避けるようになり、仲直り出来ないまま、小学校卒業と同時に、仙台へ引っ越してしまった。
そして、高校で偶然再会しても、二人の関係はなかなか元には戻らず、あっと言う間に3年間が過ぎようとしていた。紆余曲折の末、受験も終わって、ようやくお互いの気持ちに素直になれそうな感じになった頃、そこに割り込んで来たのが長谷川さんだった。
初めて女子にコクられて、舞い上がった聡志は、彼女と何回かデートしたみたいだけど、結局私を選んでくれた。
嬉しかったけど、聡志の心が揺らいだのは事実。私の心にちょっぴり傷とトラウマを残したのは、また確かなことだった。
そんな相手と聡志が、私が知らない間にまた繋がっていた。彼氏を紹介したんだから、考え過ぎなのかな。
でも・・・私の中で、疑心暗鬼が広がるのを、どうすることも出来ずにいた。
先月からって、もうひと月半も経つじゃない。その間に、何度も電話もLINEもしたし、一昨日からは、一緒にいるのに、聡志はそんなこと、一言も私に言ってくれなかった・・・。
「試合や練習もよく、見させてもらってて。それで先日、Eの選手を塚原くんから紹介していただいて、今、お付き合いさせてもらってるんだ。」
「それって、菅沼選手のこと?」
「うん。」
そのことだって、昨日あいつは言わなかった。なんか様子がおかしいなとは思ったけど・・・。
「彼氏、今博多遠征でさ。それで今日は塚原くんの応援に。」
私の内面の動揺なんかに、全く気付く様子もなく、長谷川さんは、にこやかに話し続ける。
「岩武さんはもう帰るの?塚原くん、ベンチに下がっちゃったもんね。私はせっかくだから、最後までE応援してくよ。じゃあね。」
そう言うと、私に屈託ない笑顔を残して、長谷川さんはスタンドへ戻って行く。その後ろ姿を見送る私は、とても笑顔どころではなかった。
聡志のマンションへの帰り道、私の心は千千に乱れた。とにかくなにがどうなっているのか、理解出来ずに混乱していた。
聡志が、長谷川さんと再会して、以来ずっと連絡を取り合っている。そして、それを聡志は私に隠して来た。
なんで、隠す必要があるの?あいつは一体何をしたかったの?何を考えてるの?
高校卒業間近、私と長谷川さんは、簡単に言えば、聡志を取り合う形になった。
生まれた時からずっと一緒で、幼い頃に結婚の約束なんかして、でも私と聡志は決して順風満帆じゃなかった。
小3の夏休み過ぎ、聡志はクラスメイトにいつも私と一緒にいることをからかわれてから、私を避けるようになり、仲直り出来ないまま、小学校卒業と同時に、仙台へ引っ越してしまった。
そして、高校で偶然再会しても、二人の関係はなかなか元には戻らず、あっと言う間に3年間が過ぎようとしていた。紆余曲折の末、受験も終わって、ようやくお互いの気持ちに素直になれそうな感じになった頃、そこに割り込んで来たのが長谷川さんだった。
初めて女子にコクられて、舞い上がった聡志は、彼女と何回かデートしたみたいだけど、結局私を選んでくれた。
嬉しかったけど、聡志の心が揺らいだのは事実。私の心にちょっぴり傷とトラウマを残したのは、また確かなことだった。
そんな相手と聡志が、私が知らない間にまた繋がっていた。彼氏を紹介したんだから、考え過ぎなのかな。
でも・・・私の中で、疑心暗鬼が広がるのを、どうすることも出来ずにいた。