菅沼さんから、連絡が来たのは、もう11時近かった。


『今日はありがとう。』


「お疲れ様でした。で、どうでしたか?」


『いい子だったよ、俺の目に狂いはなかった。』


「そうですか、ならよかった。で、あれからどうしたんですか?」


俺は、もっとも気になっていることを聞いた。


『場所変えて、一緒に食事して、しばらく話をしてた。野球もEも大好きな子なんで、よかったよ。ちょっと遅くなっちまったから、送るって言ったんだけど、遠慮されちゃったよ。ま、初対面だからな。仕方がない。』


はぁ・・・。


『だが、これからもよろしくってことになって、連絡先は交換した。お前のお陰だよ、本当にありがとうな。』


「いえ、とんでもないです。じゃ、俺がこんなこと言うのも変ですけど、長谷川のこと、よろしくお願いします。」


『ああ。お前に無理聞いてもらったからな。』


「えっ?」


『お前が彼女を、本当は俺に紹介したくなかった理由がわかったよ。今日会ってみてな。』


「・・・。」


そんなことを言われて、俺は思わず言葉に詰まる。


『俺は今まで、付き合っていた女といつも誠実に向き合って来たなんてことは言うつもりはねぇけど、いつも不誠実だったわけじゃねぇから。』


「菅沼さん・・・。」


『上から目線と言われるだろうが、その子が、ちゃんと向き合うべき女かどうか、そのくらいの見極めは出来るつもりだから。安心しろ。』


「その言葉、信じてもいいですか?」


次の瞬間、俺は思わず、そう言っていた。


『ああ。』


間髪入れずに返ってきた、菅沼さんの言葉に、俺は安心していた。


通話を終えて、ディスプレイを確認すると、長谷川からLINEが入っていた。


『さっき、帰って来ました。電話したんだけど、お話し中だったんで、LINEでゴメンね。菅沼さんといろいろお話しして、美味しいご飯もご馳走になっちゃいました。それで、取り敢えず、お付き合いをさせていただくことになりました。ありがとうございました。じゃ、おやすみなさい。』


(よかったな、長谷川。)


俺は、ホッと肩の荷が降りたような気がしていた。