2日目のデートの終わりに、俺は長谷川に頭を下げた。
「ゴメン。やっぱり、俺の心の中にいる人は君じゃない。」
残酷な言葉だったと思う。あの時のことを思い出すと、今でも心が痛む。
その俺の言葉を聞いた時、長谷川は表情を歪め、でも次の瞬間
「そっか、やっぱりダメだったかぁ。」
と少しおどけながら、必死に笑顔を作っていた。
「2日間、楽しかった。高校生活最後の、いい思い出になったよ。感謝してます。ありがとうございました。」
そう言ってペコリと頭を下げて、長谷川は俺に背を向けた。きっと、その瞬間に彼女の目からは、溢れ出すものがあったに違いない。
送ってくよ、そんな取り繕うような台詞を言うことも出来ずに、俺はその彼女の後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
その翌日は卒業式だった。最後の別れのHRが終わり、由夏に想いを打ち明けるべく、覚悟を決めて、席を立った俺に、長谷川はスッと近付いて来ると、言った。
「頑張って、ちゃんと岩武さん、捕まえるんだよ。私の為にも、ね。」
そして、申し訳なくなるくらいの、素敵な笑顔を俺に残して、長谷川は教室を出て行った。短かった彼女との時間は、こうして終わった。
それから7年。俺は今でも、長谷川に対して、面映く、切ない想いを抱いていることに、改めて気が付いていた。
最初の自問に戻ろう。
(本当に、これでよかったのか?)
それに対する自答はこうだ。
(いいはずないだろう。)
理由は簡単だ。由夏に今夜のことをちゃんと報告出来るのか?長谷川と再会して、連絡を取り合って行くことを約束したって。
だけど、俺は長谷川を無下に振り払うことが出来なかった。
(絶対にもう会うことはしない。その一線さえ崩さなければ・・・。)
そんな都合のいい言い訳を、必死に自分に言い聞かせながら、俺はハンドルを握っていた。
「ゴメン。やっぱり、俺の心の中にいる人は君じゃない。」
残酷な言葉だったと思う。あの時のことを思い出すと、今でも心が痛む。
その俺の言葉を聞いた時、長谷川は表情を歪め、でも次の瞬間
「そっか、やっぱりダメだったかぁ。」
と少しおどけながら、必死に笑顔を作っていた。
「2日間、楽しかった。高校生活最後の、いい思い出になったよ。感謝してます。ありがとうございました。」
そう言ってペコリと頭を下げて、長谷川は俺に背を向けた。きっと、その瞬間に彼女の目からは、溢れ出すものがあったに違いない。
送ってくよ、そんな取り繕うような台詞を言うことも出来ずに、俺はその彼女の後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
その翌日は卒業式だった。最後の別れのHRが終わり、由夏に想いを打ち明けるべく、覚悟を決めて、席を立った俺に、長谷川はスッと近付いて来ると、言った。
「頑張って、ちゃんと岩武さん、捕まえるんだよ。私の為にも、ね。」
そして、申し訳なくなるくらいの、素敵な笑顔を俺に残して、長谷川は教室を出て行った。短かった彼女との時間は、こうして終わった。
それから7年。俺は今でも、長谷川に対して、面映く、切ない想いを抱いていることに、改めて気が付いていた。
最初の自問に戻ろう。
(本当に、これでよかったのか?)
それに対する自答はこうだ。
(いいはずないだろう。)
理由は簡単だ。由夏に今夜のことをちゃんと報告出来るのか?長谷川と再会して、連絡を取り合って行くことを約束したって。
だけど、俺は長谷川を無下に振り払うことが出来なかった。
(絶対にもう会うことはしない。その一線さえ崩さなければ・・・。)
そんな都合のいい言い訳を、必死に自分に言い聞かせながら、俺はハンドルを握っていた。